本日は文部科学省の国立教育政策研究所教育課程研究センターが例年行っている「全国学力・学習状況調査【小学校】調査結果資料」に基づき、公立小・国立小・私立小の結果を調査分析致しましたので、開示したいと思います。
この点、公立小、国立小、私立小で一定の違いが生じるのは当然です。
このため、当記事では公立小、国立小、私立小それぞれの過年度との増減を比較することで、趨勢分析を行いたいと思います。
これにより、公立、国立、私立と進路を迷う方に、一定の参考指針となればと思います。
公立小・国立小・私立小の最新の学力調査結果
まず、令和3年度調査の概要を科目ごとにまとめました。
それぞれ国立小、私立小と公立小の間に乖離があります。
私立小と国立小学校は全て受験の必要があります。私立小は定員割れしている学校もありますが、国立小はどのエリアでも人気ですから、国立の点数が一番高い点も納得できます。
一方、公立小は中学受験生の点数を踏まえると違う結果が想定されますが、全国的には少数派ですので上記のように乖離が生じるのは理解できます。
これを見た方も、そりゃそうだろうな、という所かと思います。
国語の点数詳細
公立 | 国立 | 私立 | ||
学校数(校) | 18,857 | 61 | 120 | |
児童数(人) | 993,975 | 4,930 | 6,564 | |
全体点数(点) | 64.7 | 80 | 76.5 | |
知識及び技能 | (1) 言葉の特徴や使い方 | 68.3 | 83.4 | 80.7 |
(2) 情報の扱い方 | 0 | 0 | 0 | |
(3) 我が国の言語文化 | 0 | 0 | 0 | |
思考力,判断力, | A 話すこと・聞くこと | 77.8 | 90.3 | 87.4 |
表現力等 | B 書くこと | 60.7 | 75.7 | 71.4 |
C 読むこと | 47.2 | 65.8 | 60.9 | |
評価の観点 | 知識・技能 | 68.3 | 83.4 | 80.7 |
思考・判断・表現 | 62.1 | 77.5 | 73.4 | |
主体的に学習に取り組む態度 | 0 | 0 | 0 | |
問題形式 | 選択式 | 71.7 | 86.3 | 83.9 |
短答式 | 70.6 | 84.5 | 80.4 | |
記述式 | 40.2 | 58.6 | 52.9 |
算数の点数詳細
公立 | 国立 | 私立 | ||
学校数(校) | 18,854 | 61 | 120 | |
児童数(人) | 994,101 | 4,932 | 6,567 | |
全体点数(点) | 70.2 | 84.3 | 81.3 | |
学習指導要領 | A 数と計算 | 63.1 | 79.1 | 74.9 |
B 図形 | 57.9 | 78 | 76.4 | |
C 測定 | 74.8 | 86.3 | 85 | |
C 変化と関係 | 75.9 | 88.4 | 85.7 | |
D データの活用 | 76 | 87.5 | 84.3 | |
評価の観点 | 知識・技能 | 74.1 | 87.3 | 85.2 |
思考・判断・表現 | 65.1 | 80.3 | 76.3 | |
主体的に学習に取り組む態度 | 0 | 0 | 0 | |
問題形式 | 選択式 | 76 | 88.1 | 85.6 |
短答式 | 75.8 | 89.1 | 87.1 | |
記述式 | 53 | 71.2 | 66.2 |
前回調査時との比較
では、前回調査との比較をしてみたいと思います。
令和2年度はコロナ禍で実施されませんでしたので、令和元年度との比較となりますので、コロナ禍でどう学力が変わったかがわかる指標とも言えます。
前回調査との数字上の比較はよく行われており、週刊誌等でも掲載されていますが、意外にも公立、国立、私立別の率まで含めた比較開示は見ないです。
年度によって問題が違いますので点数の単純比較はできませんが、同じ問題を、同様のカテゴリの学校が解いています。違う点はタイミングだけですので、点数の伸び率で比較評価の指針とすることができます。
まず、全体として点数が上昇しています。これにより、全体として、①前回より問題が簡単だった、もしくは②全体的に子供の学力が上がったかいずれかの事由が想定されます。①は公立、私立、国立によって変わる前提ではないので今回は無視します。
②について、公立、国立、私立で差があるのかが気になりますので、今回追加したのが、前回点数との比較です。(図の赤字部分)。
面白いことに、国語は私立、算数は公立の伸び率が一番高かったことがわかります。
サンプル数は十分なので、コロナ禍の2年間の成果もあるように思います。
私自身、意外だったのは公立の伸び率が高かった点です。
もちろん、この指標はもともとの点数が低ければ有利に動きやすい指標ですが、この2年間で点数が上がったことは事実です。算数はトップで、国立も私立に次いで高いです。
私立はコロナ禍対策を積極的に取り組んでおり、伸び率は理解できますが、公立は昨年、対策の遅れが全国的に指摘されていました。この点、来年ももし公立の点数が継続して上昇することになれば、その原因をより粒さに調査する必要があると感じています。
【公立・国立・私立】全国学力・学習状況調査 令和3年度調査と令和元年度の比較
令和3年 | 令和元年 | 前回比較 | 変動率 | ||
公立小 | 国語 | 64.7 | 63.8 | 0.9 | 1.4% |
算数 | 70.2 | 66.6 | 3.6 | 5.1% | |
国立小 | 国語 | 80 | 79.5 | 0.5 | 0.6% |
算数 | 84.3 | 80.9 | 3.4 | 4.0% | |
私立小 | 国語 | 76.5 | 74.7 | 1.8 | 2.4% |
算数 | 81.3 | 78 | 3.3 | 4.1% |
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