受験生はもちろん、大学生やOBも自分の大学の評価が気になることが多いかと思います。
この点、特定の複数大学学部を比べた場合、評価基準の解釈にはいろいろあります。
学問、資格、就職、ブランド、立地、財務、人気、将来性などなど、、、によって比較されますが、その定義は人によって異なり、様々な視点で比較されて書籍に集められています。
しかし、良くも悪くもこれら抽象的な比較を可能にする有力な判断基準がW合格です。
W合格とは、その名の通り大学に複数合格することを指しますが、受験生がどちらを選択するかという統計が一定間隔ごとに集計され、メディアによって開示されます。しかし、この統計もまたサンプル母集団が明確にされておらず、ぶれやすいです。
しかしながら、このW合格の選択は、その数字が事実である限り、非常に大きな意味を持ちます。
併願して、受験生やその家族などが、色々な情報を集めて悩みぬいた後に選択するわけですから、ブランド、人気はもちろん、色々な指標を反映した結果となります。
このW合格の選択結果は、例年の結果から、下記の傾向があります。
一度大差がつくと長期に渡りひっくり返らない一方、わずかな差であれば頻繁に入れ替わります。
①人数にもよるが、9割を超える比率で一方の大学が選択されている場合、短期的には覆りにくい。
②人数にもよるが、3分の2を超えない程度であれば受験生の間で評価が割れており、変動しやすい。
③国立と私立の選択は試験制度の関係で国立有利。国立の方が後に受験があるケースが多いため。
④私立間でも後ろに受験日がある場合は後発有利。合格後に受験する時点でその学校を志望しているため。
⑤コロナ禍以降、早慶の動向に動きあり。慶應は経済と法、早稲田は政経が引っ張る。
⑥MARCHでは明治が頭一つ抜けた印象。中央法などキャンパス移転で人気上昇傾向。
これらは、受験生においても重要な指標として利用できます。
自身の判断を大事にするのも聞こえは良いですが、①のような状態で根拠なく少数派の選択肢をする場合、自分が知らない情報が何かあるかもしれません。このため、その差は何なのか、よく調べたほうが良いでしょう。
当然、調べてよく理解した上で、少数派を選択するのは全く問題ないですが。
当ブログでは下記雑誌の併願データを参考にW合格の選択結果を比較し、更にアンケート形式で両者の信憑性を相互確認しつつ、最新の状況を反映できればと思います。
アンケート結果の履歴を追って人気の趨勢がわかるようにしています。
2021年11月4日、データの蓄積とご訪問者の増加に伴い、見やすくするため表形式にまとめました。
国公立と有名私大の比較
国立では東大、京大、一橋や東工大までは早慶よりも優位で確定。
その他国立と私立の比較は馴染みません。これは、受験時期の問題と、出身地が大きく影響します。
私立の合格発表が判明してから国立を受験する場合は受験する時点でほぼ100%国立進学と解釈できますし、地方国立は現場ではトップで、価値観が異なります。このため、比較する場合は合否が出る前に受験できる早慶の学部でないと、検討に値しないところです。
過去の週刊誌データの一例を挙げると、東北大法と上智法では、100%上智を選択しています。
筑波文系学部と早稲田文でも、100%早稲田法を選択しています。
筑波理工と早稲田理工は拮抗しているようです。
早稲田基幹理工との比較では早稲田の方が優勢で、創造理工に比較では筑波の方が有利で、拮抗しています。
とはいえ、サンプル数もわからない以上、この結果をもってW合格の傾向として判断するのは無理があります。
早慶と地方国立大で比較すると、早慶が勝ることが多いです。
横浜国立は根強い人気があり、早慶理工学部と拮抗しています。
首都大学東京は早慶と比較するとワンサイドゲームになりますが、MARCHとは拮抗しています。
データ上では、早慶の一部学部は、名古屋大学との比較で100%早慶を選択しています。
これは少し意外でした。この傾向が続くのか、次年度も追う必要があります。
このあたりを加味すると、学部による差はあれど、難関私立は健闘していると言えます。
難関私大の学部別比較
ここからが本番です。
私大全体として読み取れる直近の傾向は下記のとおりです。
直近の実態を把握するため2021年1月20日よりW合格進学先に関するアンケートを追加しました。
想定以上に非常に多くの投票を頂きありがとうございます。
2021年1月~2022年3月を一定期間で区切って比較しており、日々皆様の投票で変わります。
W合格のアンケート結果は、URLを明記頂ける限りご自由にどうぞ。
動きがあって面白いのが早慶とMARCHですね。
早慶では、この記事を書いた2021年の上半期は慶應優位でしたが、下半期に東進ハイスクールのW合格選択の結果がダイヤモンド、東洋経済、AERAで報じられてから、一気に早稲田に票が偏っています。MARCHでは明治が人気があり、中央法が再注目されています。
当ブログのアンケートは、投票いただいてる母集団が多いこともあり、下記のように概ね実態を反映しているようです。
当ブログのW合格データの信憑性は?
そもそも皆様のアンケートが実態を正確に反映するのか?という点が気になるところです。
上記は東大の併願として非常に多いパターンの早稲田政経と慶應経済のW合格の結果につき、ブログアンケートとダイヤモンド(東進データ)を同時期に比較したものです。
ブログ投票数は420と十分で、この結果が週刊ダイヤモンドの併願データと実に1%しかずれていません。
併願者が多い早慶では他学部でもある程度同様に、ブログと雑誌データが近似する傾向が見られます。
数が集まれば、正確なデータが期待できるということですね。
雑誌の併願対決は週刊ダイヤモンド様の抜群の信頼性と引き換えに、サンプル数にやや不安があります。5名以上のサンプルがあれば掲載しており、その数は明らかにしていません。因みに上記併願は定番ですから雑誌内のサンプル数も多いでしょう。
実数は全ての方が申告しているわけでもなく、国立合格者も(進学してないので)除かれますし、サンプルが十分でない可能性もあります。併願対決は、同じ数字比率をよく見かけますが、比率のバラエティが乏しいことからも、サンプル数が少ないことを示唆します。
例えば、6人と4人(60:40)、5人と5人(50:50)では比率で聞くと大きな違いのように感じますが、もし実数で聞くとたった一人の違いですから、それほど参考にされないでしょう。しかし、6割が選択すると率だけを聞くと皆が選択しているような説得力を帯びるので不思議です。
このように、情報の信頼性には長短ありますので、定番のW合格選択のケースでは、当ブログのアンケート回答と雑誌の数字が一致している限り、信憑性は双方高いと考えて頂ければと思います。
また、サンプル数があれば信頼できるという考え方に基づけば、雑誌のサンプル数が少なそうな比較対象に関しては、当ブログのアンケートの結果の方が実態を表す可能性もあります。
W合格の信頼性まとめ
ブログ・・数が多いが信頼性に疑問
雑誌・・信頼性があるが、数が公表されない
→いずれも長短あり、両者が近似すれば信頼性は高い
週刊誌のW合格の結果は、学部別にフローに落とし込んでわかりやすくしています。(羽の絵がある枠内)
2019年11月の週刊朝日のデータを基に、2021年7月のダイヤモンドのデータを優先して上書きしています。
つまり、変更点がなければそのままとなります。
当記事の数字は上記及びアンケートの数字のみを用いて作成しています。
法学部系
トップはやはり慶應法。
ここ10年以上、私大文系トップという印象でしたが、最新のダイヤモンド(2021年7月)では慶應法が早稲田政経に劣後するデータもあります。アンケートでも、2021年7月以降、慶應法と早稲田法の差が縮まる傾向があり、東洋経済やAERAでも週刊誌で報道されたことから、政経との間では劣勢に立っていますが、法との間ではまだ慶應優位です。
MARCHは2019年11月の週刊朝日では明治が上智に近い位置まで上がり、2021年7月のダイヤモンド、およびアンケートの傾向では、名門の中央法が順位を上げています。キャンパスの都心移転が大きな要因であることは間違いないと思われますが、これは昔から言われてきたことですので、キャンパスの立地はいかに重要かということですね。
慶應
↓84%
早稲田
↓100%
上智
↓
明治≒中央(↑)
↓80%
青山学院・立教
↓
学習院・法政
2021 | ||||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
早稲田法 | 740 | 92 | 57 | 591 |
47.2% | 35.2% | 37.0% | 51.3% | |
慶應法 | 827 | 169 | 97 | 561 |
52.8% | 64.8% | 63.0% | 48.7% | |
合計 | 1567 | 261 | 154 | 1152 |
法学部比較 | 2021 | |||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
上智 | 730 | 99 | 64 | 567 |
40.2% | 30.5% | 32.0% | 44.0% | |
明治 | 363 | 77 | 53 | 233 |
20.0% | 23.7% | 26.5% | 18.1% | |
青山学院 | 49 | 9 | 6 | 34 |
2.7% | 2.8% | 3.0% | 2.6% | |
立教 | 204 | 14 | 3 | 187 |
11.2% | 4.3% | 1.5% | 14.5% | |
中央 | 389 | 101 | 60 | 228 |
21.4% | 31.1% | 30.0% | 17.7% | |
法政 | 35 | 11 | 9 | 15 |
1.9% | 3.4% | 4.5% | 1.2% | |
学習院 | 44 | 14 | 5 | 25 |
2.4% | 4.3% | 2.5% | 1.9% | |
合計 | 1814 | 325 | 200 | 1289 |
経済学部・商学部・経営学部系
当初の早慶比較記事では慶應優位と記載しましたが、2021年度は早稲田政経の数学が必須となり、経済系では早稲田優位となりました。2021年7月のダイヤモンドと非常に近似した結果となっており、その後ブログ内ではより差が広がっています。
MARCHの序列は2021年7月のダイヤモンドではっきりしてきました。
中央は法で人気を盛り返しつつありますが、経済ではそうでもないですね。
経済学部のフローは下記の通りです。商学部になると早慶が逆転します。
早稲田政治経済
↓60%
慶應経済
↓ 100%
上智経済
↓100%
明治政治経済
↓60%
青山国際政経
↓80%
青山経済
↓64%
立教経済
↓100%
中央経済
↓86%
法政経営
2021 | ||||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
早稲田政経 | 1244 | 152 | 96 | 996 |
80.6% | 57.6% | 61.5% | 88.7% | |
慶應義塾経済 | 299 | 112 | 60 | 127 |
19.4% | 42.4% | 38.5% | 11.3% | |
合計 | 1543 | 264 | 156 | 1123 |
2021 | ||||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
早稲田商 | 826 | 105 | 56 | 665 |
55.7% | 41.2% | 38.6% | 61.3% | |
慶應義塾商 | 658 | 150 | 89 | 419 |
44.3% | 58.8% | 61.4% | 38.7% | |
合計 | 1484 | 255 | 145 | 1084 |
経済学部 | 2021 | |||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
明治 | 784 | 161 | 84 | 539 |
50.9% | 63.4% | 54.5% | 41.8% | |
青山学院 | 192 | 23 | 20 | 149 |
12.5% | 9.1% | 13.0% | 11.6% | |
立教 | 400 | 23 | 12 | 365 |
26.0% | 9.1% | 7.8% | 28.3% | |
中央 | 103 | 23 | 25 | 55 |
6.7% | 9.1% | 16.2% | 4.3% | |
法政 | 31 | 10 | 7 | 14 |
2.0% | 3.9% | 4.5% | 1.1% | |
学習院 | 30 | 14 | 6 | 10 |
1.9% | 5.5% | 3.9% | 0.8% | |
合計 | 1540 | 254 | 154 | 1132 |
文学部系
2021年10月30日追記
文学部のトップは、2021年7月の週刊ダイヤモンドによれば慶應文でも早稲田文でもなく、早稲田の文化構想学部が進学率で上位という意外な結果となっています。こちらは私と同世代の方は違和感を感じた方がいるかもしれません。
アンケートで伺いつつ、推移を見守りたいと思います。
早稲田文化構想
↓67% ↓52%
慶應文 → 早稲田文
↓ 56%
上智文
↓
明治
↓75%
青山
↓71%
立教
↓
学習院、中央、法政
2021 | |
全期間 | |
早稲田文 | 469 |
47.9% | |
慶應義塾文 | 125 |
12.8% | |
早稲田文化構想 | 385 |
39.3% | |
合計 | 979 |
文学部 | |
全期間 | |
上智 | 460 |
44.8% | |
明治 | 172 |
16.7% | |
青山学院 | 124 |
12.1% | |
立教 | 182 |
17.7% | |
中央 | 43 |
4.2% | |
法政 | 17 |
1.7% | |
学習院 | 29 |
2.8% | |
合計 | 1027 |
理工学部系
理工学部は慶應がトップ堅持していましたが、2021年7月ダイヤモンドでは、対早稲田理工3学部で1勝2敗となりました。
ただ、どれも50%前後でひしめき合っています。
慶應理工≒早稲田理工3学部
↓100%
上智理工
↓約7割
東京理科大理工→明治大理工
↓86%
青山理工←立教大学理
↓67%
中央理工
↓75%
学習院理工
2021 | ||||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
早稲田理工 | 883 | 90 | 71 | 722 |
74.1% | 50.3% | 58.2% | 81.0% | |
慶應義塾理工 | 309 | 89 | 51 | 169 |
25.9% | 49.7% | 41.8% | 19.0% | |
合計 | 1192 | 179 | 122 | 891 |
理工学部 | 2021 | |||
全期間 | 1/21-5/31 | 6/1-8/31 | 9/1-3/31 | |
明治 | 681 | 111 | 68 | 502 |
49.0% | 57.2% | 54.4% | 38.9% | |
青山学院 | 168 | 18 | 10 | 140 |
12.1% | 9.3% | 8.0% | 10.9% | |
立教 | 351 | 12 | 5 | 334 |
25.2% | 6.2% | 4.0% | 25.9% | |
中央 | 138 | 28 | 30 | 80 |
9.9% | 14.4% | 24.0% | 6.2% | |
法政 | 34 | 15 | 9 | 10 |
2.4% | 7.7% | 7.2% | 0.8% | |
学習院 | 19 | 10 | 3 | 6 |
1.4% | 5.2% | 2.4% | 0.5% | |
合計 | 1391 | 194 | 125 | 1072 |
早慶:私大文系トップ3学部の変遷
2021年10月30日追記
私大理系は医学部の関係で早慶理工の比較に留めますが、
文系は学部を超えた併願が多く、早慶を中心に非常に混沌としています。
2000年ごろまでは早慶の経済学部が一番人気で、私が受験していた頃、国立の併願1番人気はこの2学部が目立っていました。2000年前後より慶應法学部の人気が高まり、法学部がつい最近まで一番人気と言って良いポジションを維持していました。近年旗色が変わり、2021年7月のダイヤモンドの情報を基に混沌としています。
次の受験生が新しい傾向を決めることになりますが、現況を予め伺っておきたいと思います。
時代の変遷とともに変動がありますが、私大文系の一番人気はこの3学部のいずれかといって良いでしょうね。
なお、早慶のW合格は下記で詳しく比較しています。
【早慶】早稲田VS慶應義塾 客観比較(W合格・偏差値・実績・小学校) | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
MARCHと関関同立の比較
雑誌のW合格対決で、MARCHと関関同立の選択結果はありません。
これは、実際には選択の局面に晒されがちですが、学部別ですとどうしても
①サンプル数が少なくなること
②地理的な要因が大きな影響を与えること
から、そのまま比較しても参考にならないことが理由として挙げられます。
関東と関西ですから、今どちらに住んでいるかによって、大きな影響を受けます。
私もかつて、私立は同志社と早慶を受験しましたが、関西私立トップの同志社と上智やMARCH上位学部の比較は難しい所です。
関西に住んでいるとしたら、上智より同志社を優先することもあるだろうし、関東に住んでいたら、上智が多数になるだろうなと容易に想像できます。このため、地域性を勘案しないと正確なデータがでません。
今回、これまでのアンケート結果は、概ね雑誌の結果とも矛盾しない結果となることがわかりました。
このため、最後に地域を分けて、同志社と上智の法学部にてアンケートを追加させて頂きたいと思います。
①のサンプル数が十分あり、②の地域を分けて伺うことで、普段は知りえない傾向が見えてくると思われます。
2021年7月13日追記
上智法と同志社法では、上智法に票が集まりつつあります。この2大学の比較ですと、場所に関係なく上智優位と言えそうです。
次に明治と同志社で商学部を事例に比較したいと思います。宜しければお願い致します。
明治と同志社で比較すると、明治が優位な点に変わりはないですが、関東と関西で評価に大きな差があり、関西では両者に大きな差はなく、ほぼ五分五分と言えそうですね。
MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)大学偏差値比較:学部別1982年~2019年 | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
【2022年最新】早稲田大学、慶應義塾大学の出願(志願)者数の日々推移 | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
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