今日は学校選択の一つの判断材料となるよう、女子難関中学校の偏差値動向や大学合格実績、中学合格実績など、客観的なデータを用いて今後伸びる私立小学校を検討したいと思います。
手元に四谷大塚の2019年度偏差値最終版の情報がありますので、最新2021年度第3回 合不合判定テスト(9月13日実施)と同条件で比較して、下記にまとめました。また、私立小学校の大手幼児教室の偏差値(2021年度模試より)を参考情報として付しました。
女子難関中学校の偏差値推移と附属小学校偏差値の比較
中学校 | 2021年偏差値 | 2018年偏差値 | 増減 | 附属小学校 | 小学校偏差値 |
桜蔭 | 70 | 71 | -1 | なし | – |
女子学院 | 70 | 69 | 1 | なし | – |
豊島岡女子学園 | 70 | 70 | 0 | なし | – |
雙葉 | 68 | 68 | 0 | あり | 62 |
浦和明の星女子 | 65 | 64 | 1 | なし | – |
洗足学園 | 65 | 63 | 2 | あり | 58 |
フェリス女学院 | 65 | 65 | 0 | なし | – |
吉祥女子 | 64 | 60 | 4 | なし | – |
鴎友学園女子 | 64 | 60 | 4 | なし | – |
白百合学園 | 63 | 63 | 0 | あり | 58 |
頌栄女子学院 | 61 | 60 | 1 | なし | – |
立教女学院 | 61 | 61 | 0 | あり | 56 |
鴎友学園女子 | 59 | 60 | -1 | なし | – |
学習院女子 | 59 | 58 | 1 | あり | 58 |
淑徳与野 | 58 | 58 | 0 | なし | – |
香蘭女学校 | 58 | 52 | 6 | なし | – |
東洋英和女学院 | 58 | 57 | 1 | あり | 56 |
田園調布学園 | 57 | 50 | 7 | なし | – |
普連土学園 | 57 | 50 | 7 | なし | – |
横浜共立学園 | 56 | 57 | -1 | なし | – |
大妻 | 56 | 54 | 2 | なし | – |
晃華学園 | 55 | 52 | 3 | あり | 50 |
東京女学館 | 55 | 53 | 2 | あり | 54 |
横浜雙葉 | 55 | 58 | -3 | あり | 58 |
参照:四谷大塚2019年入試案内、2021年度第3回 合不合判定テスト(9月13日実施)。偏差値は大手幼児教室模試より筆者整理。
この点、中学校と小学校の偏差値は通常リンクせず、下記の通り差が生じます。主な理由は下記の通りです。
・小学校の学習環境やブランド自体に価値がある。
・内部進学の他中学校受験の合格実績があり、小学校の評価が中学校より高くなる。
・中学校で生じた評価の動きが小学校に認識されるまでのズレ。
・小学校や中学校の受験日程の関係で難易度に偏りが生じることがある。
分かりやすい一例として、例えば横浜雙葉。
横浜雙葉は中学校受験では準難関校という位置づけですが、小学校受験では10月に行われる神奈川の受験においては、洗足と並んで最難関校と位置付けられる学校です。
これは10月に先行して実施されることで、11月に東京の最難関校を受験する多くの方が併願することから倍率が上がり、難易度が高くなるためです。
更に、雙葉系は四谷雙葉の御三家イメージもあり、無形の価値もあり、小学校のブランドが難易度を押し上げていることも事実です。
これは女子校最難関の四谷雙葉を筆頭に、白百合、東洋英和、女学館、立女、学習院女子など、他の名門伝統女子校にも共通して言えることで、小学校受験の倍率は非常に高いです。これらの学校には伝統校ならではの無形のブランドや小学校の学習環境に支えられています。
これら伝統校の中学偏差値は全体として安定しており、小学校受験の志願者は増加傾向です。
一方で、中学校の難易度が高くなってきている学校もあります。附属小学校がある中で注目されているのが、上述の洗足学園小学校や、東京都市大学付属小学校(共学なので省いていますが上記中学偏差値は59)です。
中学受験難易度は大学合格実績とある程度連動しています。
大学まで内部進学の道がある場合は、早慶を頂点として、大学自体の一般枠の縮小、将来の大学受験制度の混乱、外部受験する場合の大学合格実績の期待値も加味して中学受験難易度に反映されます。この中学受験難易度は、上述した小学校の教育環境やブランドも踏まえた一定の掛け率で更に附属小学校評価に影響を及ぼすという考え方が自然でしょう。
過去10年で大学合格実績を伸ばした高校
下記は2019年11月2日の週刊ダイヤモンドの抜粋ですが、附属小学校がある洗足や都市大は過去10年で国公立や早慶の合格実績で急伸しています。早慶の合格者増加数で言えば、洗足は5位、都市大は男子校の都市大付属で6位、共学の等々力で7位に位置付けられ、中学受験業界で近年注目されています。
これは私が大学生で塾講師をしていた2000年前後とはかなり評価が異なります。
しかしながら、私と同じ今の親世代は、通常下記のような動きを詳細に見ているわけではないので、昔のイメージのままとなっている方も多いです。このため、小学校の評価反映タイミングにもズレが生じます。
直近の実績として公式HPのリンクを載せておきます。
都市大は学校名が変わる10年程前は早慶へ進学すること自体珍しい学校でしたが、今は早慶に多く合格者を出しており、中学受験でも話題の学校となっています。洗足に至っては大学合格実績自体は雙葉に近づいてきています(雙葉は大学合格実績が緩やかに減少傾向)。
洗足学園小学校と都市大付属小学校は中学受験で有利なオプションあり
洗足と都市大に共通している特異なメリットが、条件が比較的緩い内部試験を予め実施して、評価が高い中学の進学権利を確保しながら、更に高みを目指して中学受験もできるという点です。洗足は中学受験合格実績が日本一と言ってよい実績で、都市大もそれに準ずる実績で続いていますから、最難関中学への現実的なステップアップが期待できます。洗足は内部進学できるのは女子のみですが、灘の合格辞退など男子のずば抜けた合格実績が小学校全体の人気を引っ張っています。
学校によっては中学受験すること自体裏切りのように解釈されますが、これら2校は寧ろ中学受験を当然と考えています。2019年に開校した農大稲花小学校(共学)も人気を集めていますが、こちらは内部進学権利を一旦放棄して一般受験しないといけないので、洗足や都市大と大きく異なる点です。
ただ、まだ受験できるだけ良い方で、他に出たくなっても出られない学校はたくさんあります。
中学受験は大学受験合格実績や評判と連動して即座に中学受験難易度に反映されますが、小学校では反映されるまでタイムラグがあり、まだ十分に反映されていないと感じています。
洗足学園小学校は近年難化していますが、都市大付属小学校は上記の伸びしろと中学受験合格実績を考えるとまだ低いと考えています。こちら、どのように反映されるかは予想の域を出ませんが、狙い目と考えます。
ズバリ言うと、お受験業界ではブランド志向が強く反映されるので、まだこの点が認知されていないなと。
小学校受験では最難関校として認知されている学校が早慶、雙葉が挙げられ、これは変わらないと見ていますが、洗足や都市大は、今後は中学校における豊島岡や渋々のように、先進的かつ実のある学校になっていくのではと予想しています。
コメント