本日は小学校受験の「倍率」について、深堀してみたいと思います。
受験倍率の話をするとき、何人受けて何人合格したか?が知りたい情報ですよね。
小学校受験の倍率は、概ね過半数の学校で公表されていますが、公表の仕方も様々ですので、その解釈には十分に注意する必要があります。
受験倍率の定義
受験倍率の定義は
受験倍率=受験者÷合格者
です。この点、受験者の定義、合格者の定義により解釈が変わってきますのでご注意ください。
受験倍率を判断する場合の留意事項
①合格者は定員ベースなのか実合格者数なのか(実合格↑→倍率↓)
②出願者と受験者には乖離がある(受験者の方が↓→倍率↑)
③補欠合格が加味されているか(補欠いる→倍率↓)
④定員・合格者に内部進学が含まれているか(含む→合格者↓→倍率↑)
一番正確な倍率は?
具体例として、内部進学者、受験者、辞退者、補欠繰上、入学者まで細かく開示している洗足学園小学校の資料がわかりやすいです。洗足学園小学校は10月の神奈川の小学校受験で、1,2を争う難関小学校です。倍率は非常に高いですが、倍率を定員ベースで比較するか、実際の合格者で比較するかで大きく変わることがわかります。
男子 | 女子 | |
定員(A) | 男女50名 | |
志願者(B) | 290名 | 303名 |
受験者(C) | 279名 | 292名 |
合格者(D) | 61名 | 57名 |
一般入学者数 | 17名 | 23名 |
補欠合格者数(E) | 12名 | 4名 |
内部進学入学者数 | 10名 | 11名 |
表面倍率(B/A) ※定員は男女25名として計算 | 11.6倍 | 12.1倍 |
受験合格倍率(C/D) | 4.6倍 | 5.1倍 |
補欠者込実質倍率((C+E)/D) | 3.8倍 | 4.8倍 |
「洗足学園小学校 倍率」で比較すると、10倍を超える、超えないなど色々な倍率が出てきますが、上記が結論です。
洗足学園小学校はまず内部試験が先に行われ、10月下旬に一般合格の発表があり(この時点で入学金40万円振込)、11月末日までに施設費24万円の振込が求められます。このため、11月に東京の私立小に合格した相当数が抜ける一方で、補欠合格も上記の通り発生します。これで56名となりますね。
定員をベースとした表面倍率(B/A)で比較すると、男女50名ですから軽く10倍を超えます。
しかし、上記の通り詳細が開示される限り、何の意味もなさない数字です。定員の2倍以上合格してますし、補欠繰上げ合格者もいます。辞退者に応じて、内部進学者も踏まえて定員(入学者)を合わせるため補欠合格者が出ます。
ここまで踏まえた、志願者÷(合格者+繰上合格)が一番正しい受験倍率です。
但し、補欠繰上人数はほとんどの学校で開示されていませんので、受験合格倍率(C/D)の情報が入手できれば、こちらで判断すると良いでしょう。
受験倍率の解釈により難易度にも影響
受験倍率は合格難易度と比例しますので、倍率の解釈の違いは小学校の難易度にあたり非常に重要です。
この解釈は学校や試験日程によっても影響を受けます。
定員に近い合格者しか出さない一部の最難関校は、わずかな補欠合格者は出るものの、上記の乖離が少なくなります。
この結果、表面倍率と受験合格倍率の差が小さくなり、受験率次第となります。
神奈川の私立小は東京との併願も多く、横浜初等部を除いて試験日程が早いので、辞退者を踏まえた合格者を加えて合格者を多く出します。このため、倍率は受験合格倍率で算出したいところです。11月に入ると、試験日程被りによる受験辞退率が高くなります。このため、受験率を踏まえた受験合格倍率で算出したいところです。
東京では11月下旬以降国立小の受験がありますが、こちらは上述の神奈川の私立小とは逆で、合格者はほぼ固定される代わりに、相当の受験辞退者が出ます。国立の一次抽選倍率に、既に辞退した出願者も含まれますから、二次考査の受験率で難易度に反映されます。
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