Oxford Reading Tree(通称ORT)は、イギリスの学習用書籍です。
幼稚園の年長向けから小学校高学年を対象として、まったく文字のない絵本を含む Stage 1から、小学校6年生向けの1冊5000を超える単語のStage 16まで、全体で800冊を超えるシリーズで広くレベル分けされています。
日本の英語学習の伝統的な問題点
1980年~90年代の多くの親世代は学生の頃、英語を日本語に翻訳しながら学ぶ学習方法で英語を学んできました。
・英語を日本語訳して学ぶ文化(英単語)
・文法をしっかり学ぶ
・ネイティブがぎこちないと感じる英語
これにより、かつての英語学習は、一部ヒアリングと完全なる読み書きの完成だけで大学受験英語を極めることができましたが、実務では聞けない、話せないというケースが続出しました。この中間に位置するのがTOEICでしたが、大学になってから費用をかけてベルリッツなどへ通う方が非常に多かったです。
時間をかけて指導に使われるテキストも改善を繰り返し、2020年の学習指導要領のように英語学習に関しては従来の学習方法からの脱却が図られていますが、まだ十分ではありません。指導する立場の我々が全員、そのように教えられて育っていないからです。
かつて英語に関しては「受験英語上」トップ層にいた私は、海外実務で英語を使えるようになるまで苦労しました。
正確に言うと、今もダメです。ギリギリのラインでぎこちなく、経験でカバーしている節があります。
今後は実務で使える英語と、受験英語のギャップが少しずつ埋められていく流れは変わらないでしょう。
変わらないといけない、と上から目線のコメントをするつもりはないですが、この流れは変わりませんから、世の流れは知る必要があります。
英語多読・読み聞かせの有用性
この日本の伝統的な英語学習からの脱却の手段の一つが洋書多読です。
洋書多読は、日本で言う絵本の読み聞かせと同じぐらい多くの方に支持されています。
日常から洋書をスラスラ読めるようになるとどうなるか。大学受験に至るまで、全ての長文読解が極めて平易になります。
私は高校3年生の頃、SRSという公文の速読英語学習を全て修了しましたが、彼らのレベルはそのような人工的なものではなく、自然にサラッと読み、早くて理解していて何より楽しんでいるので私のずっと上をいきます。
使える英語が身につき、プレゼンでも使えるようになります。
日本人が日本語を自然に学ぶと同様に、英語を英語で理解できるようになります。知らない単語があれば類推したり、英語で調べて理解できるようになります。日本語で何と言うか、というマインドはありません。
つまり、お互い交わらない語学の世界が展開するイメージです。
今の英語学習のトレンドは「英語は英語で学ぶ」で、おすすめの学習が英語絵本の読み聞かせ、多読です。
この教材のおすすめの一つが後述するORTです。
Oxford Reading Treeの教材特徴
イギリスでは検定教科書という概念がなく、いろんな本が教科書として使われていますが、ORTのキッパー・シリーズは、イギリスの小学校の凡そ80%以上で、国語の授業で実際に使われています。
英語を母国語として話す子どもたちが実際に読み書きを学ぶための教科書ですから、語彙や文法、文の長さやボリュームなど、非常に細かくレベル分けされています。このため、初めて英語を学ぶ子供にとって最適な教科書で、現地の子どもたちと同様、自然な英語を学ぶことができます。
イギリスの小学生向け教科書、Oxford Reading Treeの特徴
Stage 1 やStage 1+ 程度であれば、英語未経験又は苦手なお子様(幼児~小学生)でも、日本語で考えることなく読むことができます。難易度が少しずつ高くなるので、英語初級者でも無理なく、英語のまま理解し、読み進めることができます。
ORTの本質は英語を英語で学ぶことにあります。
英検1級などの上級者でも英語を英語で読む習慣がない方が多く、上級者でもORTを読み直すことで感銘を受ける方が多いです。
ORT にはキッパーシリーズと呼ばれる、キッパー(Kipper)という男の子とその家族や友達が登場する物語と、Firelies と呼ばれるノンフィションのシリーズなどがあります
ORT の舞台は現在のイギリスで、主人公のキッパーとその家族や友達の日常生活を描いたストーリーが中心ですが、Stage5からは、マジック・キーという不思議な鍵を使った冒険ファンタジーもあります。
ストーリーは1冊ごとに完結する短編です。イメージはサザエさん。
全体として1つの大きな物語になっており、1冊1冊は短くても、シリーズ全体を読み通すと充実感のある読書ができます。
主人公のキッパーは4歳。ビブとチップという双子の兄姉、おおらかな両親と愛犬フロッピーが家族です。
キッパー(Kipper):末っ子。やんちゃで甘えん坊。お父さんのお見舞い品を食べてしまうシーンは面白い。
ビフ(Biff):キッパーの姉で、チップとは双子。活発で勝気。いつもパンツ姿。
チップ(Chip):キッパーの兄でビフとは双子。やさしく、控えめな男の子。絵画が得意。時々ビアとケンカする。
フロッピー(Floppy):キッパーの家族の愛大で人気者。犬の保護施設に収容されていたところを引き取られてた。
パパ(Dad):子どもたちと一緒になって料理をしたり遊んだりしてくれる陽気でやさしいお父さん。
ママ(Mum):いつも明るく元気なお母さん。パパとは大の仲良し夫婦。
おばあちゃん(Gran):キッパーたちのおばあさん。好奇心旺盛で奇想天外な考えの持ち主。
ウィルマ(Wilma) &ウィルマのパパ(Wilma’s Dad):ビフやチップが通う小学校の友達。
このORT、テキストの数が膨大です。全て購入するには費用がかさみます。
一方で、テキストだけで音声がないと片手落ちとなります。このため、無料で効果的に学習できる方法を2点ご紹介します。
Oxford Owl
Oxford Owlは、公式HP内のリーディングシステムで、一部の本を無料で読むことができます。
一部と言っても200近くの本を音声付で読むことができるので、かなりのボリュームです。
公式ページ(上図)右上の「Join us」からメールアドレスなど簡単な登録だけで学習することができます。
入力は5分程度で終わり、クレジットカードなどの登録も不要です。
ORTを体験したい方にとてもおすすめのツールです。
公式HPはこちら
Oxford Owl for School and Home
英語絵本を扱う図書館で借りる
英語絵本を閲覧したり、日本の絵本と同様、借りたりすることができるのをご存知でしょうか。
東京ですと、少なくとも東京23区に居住していれば、どこかしらでCD付きで借りることができます。
上述したOxford Owlは、絵も音声もあるのですが、ボタンを押さないといけなかったり、無料であれば非常に素晴らしいツールですが、実際の絵本+CDにはかないません。やはり借りるのが一番ですね。
気に入ったものがあれば、1,2冊手元におき、繰り返し音読学習すると良いでしょう。
面白かったのは「Presents for Dad」と「Go on Mum!」。両者ともオチが最高。
全体的に日本の笑いに通じるオチがしっかりあって面白いです。
STAGE 1+ MORE FIRST SENTENCES A PACK (Oxford Reading Tree)
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