お子様が1日のうちで過ごす時間が1番長いのはご家庭ですが、次に長いのが学校です。
中学受験で志望校に合格するための塾選びも勿論大事ですが、学校から良いサポートを得られるために学校と良好な関係を築く事も大事な要素の一つです。今回は神奈川県の公立小学校で実際に教員をされている方のお話を踏まえつつ、中学受験に向けての先生との接し方や学校との向き合い方について話していきたいと思います。
公立小学校教員の受験に対する知識や考え方
神奈川や東京など、都市部の公立学校の教員における地方出身者の比率はかなり高いです。
このため、受験校の事を含め中学受験についての知識が乏しい教員は少なくありません。中学受験業界については大学や教員採用試験の勉強で学ぶ事もないので、6年生を受け持つ経験を多くしているとか、教員歴が長いなど経験の蓄積がない限りは、中学受験の知識について期待しない方が良いでしょう。
また、その学校や地域が中学受験が多いのかどうかによっても変わってきます。
中学受験の割合が比較的多い学校であれば経験から学校全体で情報共有がされやすいですし、反対に少ないのであれば教員にとって初めての事も多くなってきます。加えて私立小学校と違って公立小学校では異動があってなかなか知識が定着しづらいという側面もあります。
このため、学校の教員に受験の事について過度な期待はおすすめしません。中学受験については、やはりその道のプロである塾の講師に、気になる事や知りたい事は塾の講師に相談するのが良いです。
では、そのような教員とどのように接していけば良いでしょうか。
そもそも教員にとって受験は学校外の取組であって、積極的にどうにかしないといけないような対象ではないです。
例えば学校外で問題が起きた場合、教員は対応は勿論しますが学校外の事は言われても困るというのが基本的なスタンスです。
これは決して受験を否定している訳ではなく教員の仕事という意味で優先度は高くないという事です。
クラスの子どもたちの幸せを願い、出来る限りの事はしたいと思う教員が多いでしょう。それでも授業、学校行事、学級運営、成績など他に優先度の高いものが多いので受験の事についてあまり時間を割く事ができないのが実情です。
6年生の担任になるとそれはより顕著になります。
特に受験シーズンになると受験が原因によるトラブルや子どもたちの生活の乱れなどが発生したり、受験する子が多い学校では多くの子が休む日が続き授業がしづらくなったりするなど「受験」というワードに対してネガティブなイメージを持っている教員は少なくないのも事実です。
中学受験の内申書とは:通知表は絶対評価?
中学受験をする際に必要になってくる内申書ですが、基本的に通知表の中身と考えて良いです。
通知表は、具体的には、各教科ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3項目からなる観点にA、B、Cの判定がなされます(2020年度より4観点から3観点に変更)。それらを総合的に判断した結果が、例えば3段階であるなら1、2、3のように評定と呼ばれる数字で表記されます。
3観点のA、B、Cをそれぞれ3点、2点、1点と点数化してその合計で8点以上なら評定は3、5点以上8点未満なら評定は2、5点未満なら評定は1などというように決めますが、その基準は学校によっても違いますし何点だから必ずしも評定はいくつとならない場合もあります。わかりやすく言えばAが多いほど評定は良くなり、 Aが少なかったりCがあったりすると評定は悪くなります。また、クラブ活動や10項目からなる行動の記録では優れていれば◯が付きます。そして外国語活動と総合の所見欄があります。
現在学校での評価の仕方は絶対評価になっていますが、実は相対評価の側面も入っています。
というのも成績をつける際に他のクラスの成績と照らし合わせて、例えば国語の「主体的に学習に取り組む態度」という観点においてAをつけた子の数の合計が他のクラスとかけ離れすぎていないように、多いクラスのAの数を減らしたり、少ないクラスのAの数を増やしたりというように調整します。
行動の記録も同様です。「思いやり・協力」に◯が付いている子の数に開きがないようにと。また1人の子の行動の記録に◯が付きすぎないように、多くても3個か4個程度になるようにもします。これらの理由としては、クラスによって成績が良いクラス、悪いクラスというのがあると教師の指導の仕方が良くないんじゃないかというようなトラブルを回避するためというのがありますが本来はあまり好ましくない事ですね。
「知識・技能」であればテストの点数でほぼ決まり、「思考・判断・表現」であればテストの一部、発言内容、ノートの内容などで決まり、「主体的に学習に取り組む態度」であれば提出物をしっかり出してるか、授業中の発言、グループワークの関わり方などの態度で決まります。ですがそれでも教師の印象値で判断されやすいところもあります。基本的に絶対評価と言うのは間違いないですが、塾などで学習内容はしっかり理解しているからと授業に対しての臨み方が良くないと内申を下げる事にもなりますので、日頃から集中して真面目に授業に向き合う事が大事です。
宿題と中学受験
塾の宿題が多いので学校の宿題をもっと減らして欲しいとか、反対に学力が向上するようにもっと宿題を増やして欲しい、というような要望を出す親御さんは結構います。教員の立場からすると、確かな学力の定着を図るために学級全体の実態に見合った宿題を出しているので、個別に宿題の量を調節するのは難しいです。
あの子に特別な宿題を出してるのでうちの子にもお願いします、というような事にもなるからです。それでも最初の面談の時などにそういう事を伝えておくと「わかりました」とはならないにしても、実際に宿題を出す時に出来る子はたくさんできるように天井を設定しないなど工夫した宿題の出し方をしてくれるなど要望が通る場合もありますので言ってみるのもありかもしれません。ただ、教師も人間ですので伝え方が大事です。
強く言うのではなくて、こうしてくれたら嬉しいくらいに伝えるのがこれからの良好な関係を築く上でも大事だと思います。
また、宿題の出し方や分量は教師によって違います。
本来はあまり好ましくないかもしれませんが、その教師の裁量になっているのが実情です。
そのため、6年生の担任が決まり、その先生が宿題を多く出す先生なのか少ない先生なのか見極める事で都合が良くなる事もあります。
例えば宿題の量が少ないのであれば塾のコマ数を多くするとか、宿題の量が多いのであれば負担を考えて少しコマ数を減らして様子を見るなどして学校と塾とのバランスをとる事ができます。事前にその先生は出す宿題が多いか少ないのか担任になった事のある知り合いの親御さんなどに聞くのもいいですが、毎年クラスの実態に合わせて宿題は決めますので、去年は多かったのに今年は少ないということになる事も考えられますので実際にその目で見て確かめるのが確実な方法です。
また中学受験をするご家庭にとって、学校の宿題の位置付けは比較的低く見られがちです。
お子様のレベルにもよりますが簡単すぎて意味がないように思える時もあるかも知れません。
この点、基礎的なところを繰り返し行う事で知識は定着していきますし、宿題を持ち寄って授業を通して学習する事もあります。例えば自分で作った俳句をみんなで発表し合い、お互いの良いところを探したり、感性を深めたりするような事で多様な物の見方ができるようになるかもしれません。これは受験には直接関係がないかもしれませんが凄く大事なことです。
また宿題を工夫して行う事でメリハリをつける事もできます。
例えば算数の計算問題はただこなすのではなくて、制限時間を設定していかに素早く解くかみたいに受験を想定したものにするとか、宿題で出たものはなんでそうなるか家族にわかりやすく説明するとかにしても面白いかもしれません。自分が理解して第一段階、人に説明できて第二段階、人にわかりやすく説明できて第三段階とよく言いますが、正にその第二第三段階のところをやるわけです。家庭教師のトライではダイアログ式学習法という名前で取り入れられていますから学習効果がある事もわかるかと思います。
保護者からの学校への要望について
宿題の話もそうですが、我が子を思うがあまり担任や学校に対して過度な要望をしたり、きつく言ってしまったりする親御さんはいます。ですがそれは誰にとってもメリットになりません。当然お子様にとってもです。
教員は職員室などで情報共有をする機会が多いです。
子どもたちが下校した後の放課後は職員室にいる事が多いので、学年での打ち合わせもあれば、今日こんな事があったなどと言う単なる雑談に近いような感じで話すことも多くあります。
そんな中でモンスターペアレントのように悪い印象を持たれてる親御さんの話はすぐに広まります。それは例えば進級の時の新しいクラス分けの際にも影響がある時もあります。親御さんに手を焼くから経験の浅い教員のクラスではなく学年主任のクラスにお子さんを入れようと言うこともあります。
基本的には悪い話が広まったから具体的にどうなるとか言うわけではありませんが、やはり人と人との関係なので良いに越したことはないです。お子様に対してもあの親御さんの子どもというイメージが定着するのはお子様にとって良いことではありません。
勿論言うべき事があればそれはしっかりと伝え、それでも例え自分の子どものためであったとしても行き過ぎた要望や言動は慎む事が大事です。担任の先生はクラスの大勢の事を考えているんだと意識するといいと思います。
PTA活動
子どもたちの学校生活を豊かなものにするためのPTAですが、出来ればあまり負担になるような活動はしたくないと思ってる親御さんは多いのではないでしょうか。学校によって活動内容や参加の仕方は違います。6年間の間に一度は必ず委員・役員をやらなければならないような学校もあれば、特にきまりはない学校まで様々です。元々任意加入の団体ですし必ずしも積極的に参加する必要はないですが、最低限の協力姿勢を持つ事は大事です。PTAの活動で他の家庭から情報を得られる事で受験のための良い塾決定をする事が出来るかもしれません。反対にPTAに対して嫌な顔をしたり極端に消極的だったりするとPTA内でも広まるかもしれません。
以上のように塾の先生と学校の先生の役割を知っておく事で最適なサポートを受ける事が出来ますし、また思いやりの気持ちを持って学校と接して良好な関係を築く事で結果的にお子さんの受験のためになるはずです。そして先生、友だち、他の保護者などからのたくさんの情報がある場所と捉えてうまく活用していく事が大事ですね。
子どもが万全の状態で受験に臨むために
公立小学校の6年生は大人が思っている以上に忙しいです。
日頃の授業での学習は勿論、委員会活動や集会、運動会などの行事では下級生を引っ張っていかなければなりません。さらには友だち関係、遊び(大事な子どもの仕事)などと毎日が盛り沢山です。そのためうまくストレスが発散出来ないと色々なところで影響が出ます。
塾での勉強が負担になっていないかどうかお子さんのケアは必要ですし、いつもとは違う言動や行動などお子さんからの小さなサインは見逃さないようにしたいです。特に受験シーズンや受験が終わった後というのは問題が起きやすく、塾や家でのストレスを学校で悪いように発散してしまうという事はよくあります。最悪の場合学級崩壊などという事も現実にはあります。
なので学校での過ごし方で変化や異変はないか担任の先生と連携して情報共有していく事は大事です。家で少し様子がおかしいなと思う事は連絡帳などで伝えたり、学校の様子で気になる事はないか聞いたりするといいです。また、仲の良い友だち関係について把握しておく事も忘れてはなりません。何かあった時にその友だちから話を聞く事が出来ますし、場合によっては担任の先生より友だちの方が知ってるという事もあります。心配な事は友だちに助けてもらうようお願いする事もできます。親御さんの目の届かない所でそういう存在がいると思うだけで気持ちも楽になると思います。
情報を得るためだけという事ではないですが日頃から学校とは良好な関係を築いていきたいです。担任だけでなく、場合によっては学年主任、養護教諭、児童支援専任の教諭とも連携する事は大事ですし、学校はそういうサポート体制になっていますので気軽に連絡、相談して問題ありません。
学校との一定の関係を保ちつつ、ベストな結果となるよう、うまく活用頂ければと思います。
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