東京、神奈川、千葉、埼玉に約3,500もの公立小学校がありますが、それぞれの学区に居住する世帯の平均所得は様々です。
先日、中学校受験率が高い人気公立小学校の記事を書きましたが、概ね平均所得と比例する傾向がありますね。
今回、東洋経済様(の参考としたスタイルアクト様)の算出した学区別の世帯年収データを基に、小学校別の学区別の世帯年収と差異原因を分析したいと思います。
下表のように、限られたエリアで算出しているため、隣接する学区でも違いが見られます。
隣接していて差が顕著である理由は下記のように様々です。
・国家公務員宿舎がある地域や大企業者宅など、特殊な地域は高くなる傾向がある。
・持ち家比率や土地面積が広い地域は年収も多い傾向がある。
・人気私立小学校が多い地域は高くなりやすい。
・中学受験を志す家庭が多い地域は高くなりやすい。
・人気の公立小学校が多い地域は高くなりやすい。
つまり、下表のランキングは小学校単位で調べているわけではないので、必ずしも小学校に通う生徒の世帯収入の違いにはつながらない点に注意が必要です。一方で、確実に地区別の違いはあるということも同時に言えます。
では上位50の学校を具体的に比較してみましょう。
小学校学区別の平均世帯年収ランキングと原因分析
順位 | 小学校 | 市区町村 | 平均世帯年収 |
1 | 南山小 | 港区 | 1409 |
2 | 本村小 | 港区 | 1284 |
3 | 御成門小 | 港区 | 1268 |
4 | 笄小 | 港区 | 1265 |
5 | 東町小 | 港区 | 1214 |
6 | 白金小 | 港区 | 1174 |
7 | 麻布小 | 港区 | 1163 |
8 | 番町小 | 千代田区 | 1151 |
9 | 青南小 | 港区 | 1120 |
10 | 麹町小 | 千代田区 | 1108 |
11 | 赤羽小 | 港区 | 1074 |
12 | 高輪台小 | 港区 | 1073 |
13 | 神宮前小 | 渋谷区 | 1067 |
14 | 打瀬小 | 千葉市美浜区 | 1064 |
15 | 美浜打瀬小 | 千葉市美浜区 | 1055 |
16 | 第三日野小 | 品川区 | 1051 |
17 | 千駄谷小 | 渋谷区 | 1048 |
18 | 宮前平小 | 川崎市宮前区 | 1044 |
19 | 海浜打瀬小 | 千葉市美浜区 | 1041 |
19 | 赤坂小 | 港区 | 1041 |
21 | 御殿山小 | 品川区 | 1036 |
22 | 荏田西小 | 横浜市青葉区 | 1034 |
23 | 九段小 | 千代田区 | 1032 |
24 | 芝小 | 港区 | 1029 |
25 | 土橋小 | 川崎市宮前区 | 1028 |
26 | みどりが丘小 | 八千代市 | 1026 |
27 | 広尾小 | 渋谷区 | 1025 |
28 | 日野学園 | 品川区 | 1023 |
29 | 一松小 | 長生郡長生村 | 1019 |
30 | 田園調布小 | 大田区 | 1016 |
30 | 美しが丘東小 | 横浜市青葉区 | 1016 |
32 | 日の出小 | 浦安市 | 1015 |
33 | 藤が丘小 | 横浜市青葉区 | 1010 |
34 | 池之上小 | 世田谷区 | 1007 |
35 | 佃島小 | 中央区 | 1006 |
36 | 明正小 | 中央区 | 1002 |
37 | 神南小 | 渋谷区 | 996 |
38 | 桜町小 | 世田谷区 | 993 |
39 | 山王小 | 大田区 | 990 |
39 | 菅刈小 | 目黒区 | 990 |
41 | 中町小 | 世田谷区 | 989 |
42 | 鷺沼小 | 川崎市宮前区 | 988 |
43 | 富士見台小 | 川崎市宮前区 | 985 |
44 | 白金の丘学園 | 港区 | 985 |
45 | 城東小 | 中央区 | 982 |
46 | 東深沢小 | 世田谷区 | 981 |
47 | 本城小 | 成田市 | 980 |
48 | 緑園西小 | 横浜市泉区 | 979 |
49 | 九品仏小 | 世田谷区 | 978 |
49 | 瀬田小 | 世田谷区 | 978 |
出典:東洋経済2020年4月11日号(ソースは住まいサーフィン)
面白いデータですね。概ね7割ほどのエリアはよく知っていますので解説します。
上位が港区を独占するのは小学校に限った話ではありませんが、港区でも差があります。
突出しているのは麻布十番~麻布エリアです。このあたりは南北線や大江戸線が開通して以降更に人気が上がり、ブランドが確固たるものになりました。面白いのが二の橋から仙台坂を登るコース。二の橋は麻布十番の駅前でそれはそれで一等地なんですが、このあたりはお店やマンションが多く、本当のお金持ちは坂を登った上にお住まいです。大使館も多くて警備員も多いですから、ジョギングして適当な道に入ってしまうと怪しまれるんじゃないかと少々焦ります。
なぜ駅から遠いのに高いかというと単純な話で、このあたりはそもそも電車など使わない方が多く、駅前という概念が希薄だからです。
次に、港区ばかりのベスト10内にぽつりと存在感を見せる千代田区の番町小学校と麹町小学校は、当ブログでアンケートを取らせていただいた限り、日本で一番人気がある公立小学校のベスト1,2の学区です。中学受験の実績だけでなく、場所がら伝統もあり、確固たるブランドを形成しています。
【東京都】中学受験に強い人気公立小学校ランキング:私立小学校との比較 | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
このあと、千葉市美浜区、川崎市宮前区が急に現れます。
これはそれぞれイレギュラーな要因があります。千葉市美浜区は海浜幕張の近くにある幕張ベイタウン内にある新しい小学校がランキングしています。ここはプロスポーツ選手などにも人気で、早々通えない学区になっています。また、川崎市宮前区は、国家公務員宿舎や大企業の社宅などが平均所得を押し上げています。
ベスト30を過ぎると大田区、目黒区、世田谷区が登場しますが、伝統的に土地面積が広い戸建が多いエリアや、私立小学校が多いエリアが目立ちます。世田谷区は平均世帯所得は決して高くわけではなく、色々な方が住んでいます。このため、ストック型のお金持ちは確かに多いエリアですが、平均所得としては突出した数字にはならないようです。
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