幼児期のゼネラリスト型教育とスペシャリスト型教育の比較

幼児期も終わりにさしかかりました。
卒園を迎えて振り返ると、幼児期の3歳~6歳の過ごし方により、それぞれのご家庭のお子様の個性も徐々にはっきりしてきたように感じます。

幼児期は、お子様が自らの意思で判断できる範囲が非常に狭いです。
このため、この時期はご家庭でどのような教育方針のもと育つかに依存し、大きな影響を受ける時期となります。

この点、一般的な人事評価でよくみられる評価軸で、スペシャリスト型と、ゼネラリスト型というものがあります。
営業や研究職は、抽象的な目標よりも、営業成績や研究成果といった成果物が重視されますが、管理系の職は、いかにミスなく効率的に仕事をこなすかというバランスが重視されるというものです。
この前者が特定の能力に特化したスペシャリストで、後者が、何でもそつなくこなすゼネラリストです。

この点、ご家庭の教育方針もこの2軸に分類すると、どちらの属性かわかりやすいです。
習い事、早期教育、ご両親の方針に分けてよくある3点の特徴を比較すると下記のようになります。

スペシャリスト型
ゼネラリスト型
  • 個性、専門性重視
  • 新学習指導要領、AO入試と整合
  • 一つの趣味やスポーツに没頭
  • 中学受験などを目標とした早期教育
  • 幼児期に親の目標が明確
  • バランス重視
  • 伝統的思考
  • 様々な習い事をバランスよく
  • 年齢相応の学習を漏れなく指導
  • 子供の自主性を尊重

ゼネラリスト型は、今の親世代が育てられた環境、考え方に近い教育です。
20年程前はまだAO入試も少なく、個人が特異な実績をあげることで評価される仕組みは限定されていました。また、〇か×かの絶対評価が多く、決まった解答を覚えてアウトプットすることで評価される時代でした。

現時点でも、このスタンスのご家庭が多数派と思われます。
バランスよく習い事を受けたり、または不要と判断して必要最低限のみに留めたり、様々ですが、子供の自主性を重視している点が特徴です。
また、色々な体験を幅広くさせて、将来の可能性を幅広く持たせようとするご家庭も多いですね。まさに万能型です。

この根底には、お子様の将来は自身で決めるべきであり、親が決めることではない、という考え方を持つご家庭が多いです。

一方、スペシャリスト型は、これまでの型にとらわれず、何か特定の取り組みを重視しようとする教育です。
近年の入試形態の多様化に見られるように、〇か×かだけでなく、個人が今まで取り組んできたプロセスが評価されるようになってきました。このため、お子様が興味を持った分野が評価され、専門性を帯びていくこととなります。

習い事は、ご両親が将来を見据えて特定のスポーツなどに取り組ませたいと考えた場合、週に何回も取り組むことも可能です。
その選択肢のきっかけを親が選んだとしても、毎日のように取り組むことで、何をするにしても相対的に早く上達します。
うまくできることから自信をもってお子様も好きになるケースが多いようです。今、有名なスポーツ選手を見て頂けるとわかりますが、ほとんどは親がきっかけを与えています。

この点、小学校や中学校になってから特定にスポーツなどに打ち込む場合、何かを犠牲にしなければならないこともありますが、幼児期の場合はこのような副作用をそれほど考えなくて良い点もメリットです。

これは勉強面でも似たようなところがあります。中学受験がわかりやすいところですが、中学受験という目標に向かって本気で取り組んでいるご家庭は、幼児期に幼児教室に通い、小学校入学時から中学受験塾へ通っているお子様もいます。

そして、これらの方向性に関して、親の方針が明確であることも特徴です。
正しいかどうかなどはわかりませんが、早いうちからお子様の将来を見据えた取り組みを実践しています。

これは良くいうと、お子様の将来をよく考えて行動しているとも言えますし、悪く言うとお子様が自分自身で決めるべき人生に干渉しているとも言えます。幼児期に特定の習いごとに没頭していたら、小学生以降の生活にも影響を与えそうですね。

一言でいうと、尖った能力を持たせるか、穴のない能力を目指すかという所で、この違いは幼児期であれば親の方針により影響します。

今の世の流れは、ややスペシャリスト寄りですが、
幼児期から特化する必要はないという見解も根強いですから、見解は真っ二つに分かれるでしょう。

これら2点のメリットとデメリットをまとめると下記の通りです。

スペシャリスト型の
メリット・デメリット
ゼネラリスト型の
メリット・デメリット
  • 幼児期から結果を出し自信になる
  • 続ける時間が長いと一定のリスク
  • 特化した能力が評価されやすい
  • 多様な将来の選択肢がある
  • 将来スペシャリストに転化しうる
  • 近年求められる能力とやや相性悪い

幼児期であれば何かに特化してもやり直しがいくらでもできます。一方で、小学校、中学校と継続して進めていくと話が別です。世の中勉強や学歴だけではないのですが、やはりその先に幅広い選択肢が多くあることも事実です。

私はとあるアマチュアスポーツに仕事がら係わっているのですが、待遇が良いとは言えません。
この点、お金だけでないと本人が自身の判断で決めれば全く問題ないのですが、親が幼児期に決めるのであれば、話は複雑になります。そのレールを親が敷いているわけですからね。

これに対し、ゼネラリスト型は悪く言うと旧型の方針です。
しかしながら、お子様も身心の発達とともに、どこかのタイミングで目標を持てば、自己の判断で切り替わります。
お子様もずっとゼネラリストかというとそうではありません。どこかでガラッと変わるタイミングが来る可能性は大いにあります。

このように、両者とも長所と短所はある程度明確ですが、幼児期は親の方針がそのまま影響します。
今のうちに目標意識をもって取り組むのが良いか悪いか、将来を見据えて教育方針をよくよく考えるのはお子様にとってもプラスになるかもしれませんね。

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