大阪で人気の公立大学、大阪市立大学と大阪府立大学が2022年4月に統合することが、2019年12月20日正式に決まり、2020年6月に大学名も複数候補の中から「大阪公立大学」に正式に決定しました。
なお、英語名は「University of Osaka」。あれ?大阪大学は?と思いきや大阪大学は「Osaka university」。
外国人は混乱しそうですね。日本人でも大変、、、
東京大学が「The University of Tokyo」ですから、こちらが大阪を代表する学校と認知されかねず、大阪大学は正式に抗議の意を表明しています。現状は覆ることはなさそうです。
大阪市立大学は日本で最古の公立大学であり、医学部を要する総合大学です。
大学のレベルとしては、よく京大、阪大、神戸大、その次に大阪市立大学が来ると解釈され、この序列は長らく変わっていません。私立との関係で言うと、公立の大阪市立大学と関西私大トップの同志社をW合格した場合、ほとんどが前者を選択します。
大阪府立大学は獣医学部があることが特徴で、2005年に大阪女子大学、大阪府立看護大学を統合して、日本最大規模の公立大学となりました。また、地元では工学部の評価が高く、よく大阪市大と並び評されますが、W合格時の選択傾向としては大阪市大の方が高いですが、社会的な大学評価としては当然に大差ありません。私立との関係では、市大と同様、同志社よりも選択される傾向にあります。(但し、私立の合格者が公立大学を受験する時点で、通常は後者の志望度が高いとも考えられるので、このW合格の優先順位評価は慎重に考える必要があります。)
両者ともレベルが非常に高い大規模大学ということに変わりはなく、両者が統合するということは、関西の受験事情に非常に大きな影響を及ぼします。
新大学の大阪公立大学は、定員数では国公立で全国3位の規模となるとのことですから相当なインパクトです。
議会次第ですが、府と市で折半して森之宮に新キャンパスを2025年度に設置する計画があります。総工費は約1,000億円程度の見込みです。
観光地としても有名な大阪城公園駅の目の前ですから、キャンパスの場所は超一等地となりますね。
外国人の認知度も高くなるでしょう。学生はいつでも大阪城公園をブラブラできるわけですね。
大阪公立大学の学部・学域と現在の学部との関係
大阪公立大学では、2019年8月にまとめた新大学基本構想に基づいて、獣医学部や看護学部など1学域・11学部、大学院に情報系の学部も新設されるようです。
森ノ宮新キャンパス(2025年竣工予定)
文学部←市大文学部
生活科学部←市大生活科学部、府大地域保健学域
阿倍野キャンパス
医学部←市大医学部
看護学部←市大医学部、府大地域保健学域
杉本キャンパス
法学部←市大法学部、府大現代システム科学域
経済学部←市大経済学部、府大現代システム科学域
商学部←市大商学部、府大現代システム科学域
理学部←市大理学部、府大生命環境科学域、
りんくうキャンパス
獣医学部←府大生命環境科学域
中百舌鳥キャンパス
農学部←府大生命環境科学域
工学部←市大工学部、府大工学域
現代システム科学域←現代システム科学域、地域保健学域
偏差値は上がる?関西の大学の序列に影響するか
この点、受験生の注目となるのは、長年序列を保っていた大学の選択順位に影響を与えるかどうかです。
少なくとも、統合により新大学の評価は下がることはないでしょう。
現状、他大との比較では誰もが断定的な答えはまだできないところです。
関西では、京大、阪大、神戸大、大阪市大(≧府大)という序列は長年変わっていませんが、
新大学に関しては当記事でアンケートをさせて頂いた結果、まだ幅広く分布しており、これは、評価がまだ定まっていないことを示唆しています。しかしながら、面白いのが、時間が経ってもこの分布が変わらない点。これは、皆さまの予測のバラつきが変わっておらず、評価が安定しているとも考えられます。
府大・市大はそれぞれ世界大学ランキングで200位に入ることを目標(200位以内は東大と京大のみ)としており、これは阪大以上を目標にしているとも読み取れます。
阪大はもともと京大に次ぐ伝統ある旧帝大で、全国3位グループの大学として盤石の地位にいます。
個人的には規模が大きくなっても、伝統ある京大、阪大には及ばないと予想していますが、アンケートの集計では阪大に迫ると予想している方は多いようです。
では神戸大はどうでしょうか。
一部週刊誌で、神大を超えるという表現も見受けられましたので、これをそのまま引用しているブログなども多いように見受けられます。阪大を比較対象と考えている方も多いようです。
一方、さすがに京大に迫る予想をしている方はほぼおらず、京大に迫るほどには変わらないと冷静な回答をしている方が多数派のようです。
この点、神戸大と新大学では、神戸と大阪という地域差による住み分けも予想されます。
地元で圧倒的な支持を得る神戸大学を圧倒して新大学が上にいくとも言い切れない状況です。
神戸大学もまた、大阪大学に次ぐ位置づけで、経営学部など実績ある強い学部が存在し、現地で大学のイメージも非常に良いです。よって、神戸大学と同程度のレベルに上がる可能性がある一方で、そう簡単に更に上に上がっていくことも容易ではないと予想します。
府民限定の魅力的な学費免除
市大・府大はそれぞれ、府内に3年以上居住していることを条件に、年収590万円未満の世帯は入学金と授業料を無償化することとしました。これは非常に大きいです。また、590万円以上910万円未満の世帯でも、子供の人数により学費が減額されます。
これは良策だと思っています。府民にとって、京大や阪大は別格としても、現時点で市大・府大は憧れの大学です。
今回の統合でレベルが上がり、更に学費も免除又は減額、、となると大阪の学生の支持を得るでしょう。
大阪は昔から公立文化が根付いており、年収590万円未満の世帯でも全国で勝負できる頭の良い学生がたくさんいます。
この制度が活きれば、非常に評価が高まっていきそうです。今後アンケートの結果がどのように推移していくか見守っていきたいと思います。
大阪公立大学の偏差値水準は?
通常は学部別で比較すべきですが、関西は大学の偏差値序列がある程度明確なので、大学ベースで偏差値目安を伺ってみたいと思います。
2020年10月6日時点では、大阪公立大学の偏差値は下記のように予想されていました。
神戸大学を上回るか否か、がポイントのようで、現状は上回ると考えている方の方が多いようですが、今と変わらないと予想する方も含めると、神戸大偏差値がほぼ中間。
一方で阪大以上となる声は極めて少数です。
1位:大阪大学と神戸大学の間 (47%, 37 票)
2位:神戸大学と大阪市立大学・大阪府立大学の間 (27%, 21 票)
3位:大阪市立大学・大阪府立大学と同等 (20%, 16 票)
4位:京都大学と大阪大学の間 (4%, 3 票)
5位:京都大学と同等 (3%, 2 票)
2021年2月3日時点、5月31日、7月13日とそれぞれ、下記の通り票が動きました。以降安定しています。
各予備校も偏差値の目安を開示しており、神戸大学と大阪市立大学・大阪府立大学の間に位置する偏差値が多いようで、確かにアンケートでもこのあたりの票が増加しています。
1位:大阪大学と神戸大学の間 (49%, 128 Votes)→(46%, 308 Votes)→(45%, 362 Votes)
2位:神戸大学と大阪市立大学・大阪府立大学の間 (27%, 72 Votes)→(29%, 195 Votes)→(30%, 240 Votes)
3位:大阪市立大学・大阪府立大学と同等 (17%, 44 Votes)→(18%, 121 Votes)→(19%, 156 Votes)
4位:京都大学と大阪大学の間 (5%, 13 Votes)→(5%, 31 Votes)→(4%, 36 Votes)
5位:京都大学と同等 (2%, 5 Votes)→(2%, 11 Votes)→(2%, 15 Votes)
今後は模試による正確な偏差値が出てくるでしょうから、そのころにはこの記事の役割を終えるでしょう。
神戸大学の偏差値に迫ることがあるのかが注目されます。
まとめ
2021年2月時点で、大阪公立大学の偏差値は、凡そ半数が大阪大学と神戸大学の間に位置すると予想されています。
一方、阪大以上の偏差値になると予想される方は1割に満たないため、初年度は何かと神戸大と比較されることになると思われます。
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