いよいよ直前期を迎え、小学校受験も慌ただしくなってきました。
この時期、誰しも力試しのために模試を受けますが、評価の把握について気を付けることもありますので、塾講師の視点で偏差値と順位についてお話します。
偏差値と順位、点数の考え方
偏差値は、大学受験で複数の模試を受けた方などは実感としてわかりやすいでしょうが、模試別に数字の出方が異なります。
というのも、偏差値は点数評価とは異なり、母集団の影響を受けて、偏りを反映した平均値からの差を表す数字だからです。
つまり、平均点が70点のテストで90点を取った場合と、60点のテストで90点を取った場合では、後者の方が遥かに偏差値が高いわけです。
これは、テスト自体の難易度だけでなく、母集団のレベルによる影響も受けます。
例えば、早慶志望者が集まった模試では、母集団の平均点が通常より高くなるので、偏差値は低くなりがちです。
模試の種類によって、優秀者の割合が多い模試と、一般に広く開かれた模試では、後者の方が偏差値が高く算出されやすいです。
更に、小学校受験においては模試の時期によっても影響を受けます。小学校受験の難易度は学校によって差が大きく、年長になってから始める方もたくさんいらっしゃいます。そのような場合、まだ点数が取れないのは当然ですが、直前になるにつれて、初学者の受験者も増加していきます。
よって、年中から対策し続けていた受験生は、新規参入受験生のおかげで、見かけ上一定の偏差値を確保しやすくなります。
このため、お子様ご自身の成長を適切に判断する場合、下記を指針にされるとよいです。
学校別の模試を受験する。
大手幼児教室では、学校別模試を開催しています。
今年は残念ながらコロナの影響で中止期間がありましたが、今後開催される可能性が高いでしょう。
学校別の模試はその学校の難易度に合わせて、猛者が集まります。
大手で実施する学校別模試を受験することで、模試の母集団から実際の受験における順位を保守的に推定することができます。
保守的に、という意味は模試のレベルは実際の志願者母集団と比較してずっとレベルが高いためです。単純に比例計算すると順位が悪く出ますが、通常それ以下にもならないでしょう。
早い段階で受験することで、ライバルたちの動向を見極めることもできます。
しかし、本番では模試の結果が反映されないことも事実です。
無用な焦りを生まないために受験しないという戦略も多いにありです。
偏差値よりも全体順位の比較で判断する。
小学校受験は非常に狭い世界ですので、上位者が合格を目指す難関小はかなり限定されています。
加えて、優秀者はW合格しますし、きょうだい枠はどの私立小もかなり有利な別枠です。
よって、ご自身の志望校を加えた難関小の定員合計からこれらの別枠を控除した金額が実施的な定員枠となります。
よって、絶対的な評価である順位は、定員枠と比較して検討できるため偏差値より実質を反映します。
成績者上位者は通常、何らかの模試を定期的に受けていますが、多くの人数が集まる模試は限定されています。
広く見ても5~6種類程度でしょう。上位者が受ける模試は通常月に1~3回でしょうから、これを踏まえるとある程度、目指すべき順位は推定できます。
返却されてきた模試の順位から他の模試も踏まえた全体の順位も試算でき、どんぶり勘定でもある程度的を得た計算ができます。
直前模試で、たとえ偏差値が変わらなくても順位が大きく落ちていれば、最後もっと頑張らないといけないと言えるかもしれません。
いずれにせよお子様に伝える必要はないですけどね。
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