【小学校受験】考査の試験範囲を見据えた直前期の学習戦略

本日は昨年ご相談が多かった、小学校受験直前期の学習方法のうち、学習範囲にフォーカスしたいと思います。
夏期講習直前のこの時期、日々の学習に手応えを感じている方もいらっしゃれば、課題を感じている方もいらっしゃると思います。

ここから最後の追い込み数が月、考査当日まで継続して逆転劇が至る所で起こります。
学習計画の戦略次第で成長は断然変わってきますが、問題を用意するのは保護者様ですから、お子様の能力だけで決まるわけではありません。

模試の成績などで不安を感じている場合、直前期に重要な点は、必要十分な範囲を最短距離で駆け抜ける事です。

自宅学習の細かい取組までは、なかなかお教室は指導してくれません。
しかしながら、実際に指導が必要かと言うと微妙な所で、保護者様が試験範囲を理解することが一番の合格の近道です。
お教室の教材だけやれば良いというと耳触りが良いですが、本来これが成り立つのは、お教室がご家庭の志望校群とお子様の特性を深く利用していて、オーダーメイドで問題を準備する場合のみです。
試験範囲の保護者様の理解は、経験に基づく蓄積で培われ、お子様の学習に日々寄り添っていれば徐々に見えてきます。

目次

試験範囲・受験塾・市販問題集の関係

下図は、主に過去問の集積から構成される、考査における試験範囲と、塾の学習範囲、市販問題集の関係です。

小学校受験の考査範囲と塾の学習範囲、市販問題集の関係

あらゆる小学校の考査問題を見てきましたが、ほとんどは過年度、どこかで出題された問題の繰り返しです。
円の大きさは主観が混入しますが、大小の関係が通常逆転することはありません。

赤いギザギザは、考査の出題範囲につき、明確にルールがあるわけではないが、確実に存在することを表現しています。
例えば、昆虫であれば、カブトムシは卵から成虫に至る過程まで非常に出題されますが、身近で見かけるカナブンやコガネムシは出題されません。
小学校の出題範囲は、過去の経験則の積み上げにより、帰納法的な特性を帯びています。
お互いに他校の問題を融通し合っていますから、お教室では志望校の過去問だけでなく、他の学校の過去問も取り組むように指導するケースも多いです。

青い部分は塾の学習範囲ですが、塾は過去問の範囲を中心としながらも、応用力を試す趣旨及び保険も兼ねて、幅広く対応します。
この枠の大きさは塾によって異なります。例えば伸芽会は試験範囲に忠実に、赤いギザギザに交わって円を描くイメージ。スイングは早期に難度の高い問題に取り組むので、その範囲は広くなるイメージ。ジャックはその中間。

塾の指導に従ってとにかく与えられた問題を抑える場合、この青の範囲を抑えることとなります。
迷わず学習できる点で利点もあり、これも一つの有力な方針ですから、私がとやかくいう事ではありません。

灰色部分の市販問題集は、直前期においては玄人なみの千里眼が求められます。
非常に有用な問題集もあるのですが、小学校受験に対応していたり、していなかったり様々です。

青色までの枠と異なる点が、新規性を反映していない点です。あまりに古すぎる問題がそのまま掲載されていたり、関係ない問題が含まれていたり、小学校受験に関係するか否か見極める能力が求められます。

学習が必要な問題の見極め

お子様と並走して問題をたくさん見続けていると、小学校の考査範囲たるコア部分が、帰納法的にうっすら見えてきます。
このあたりの感覚が試験直前期の取捨選択にあたり、大事な所。過去問、お教室の問題もありますから、直前期の市販問題集はバランスを見ながら、苦手分野の補強に留めて破綻しないように計画的に進めたい所です。

直前期になると、ペーパー枚数による学習は不毛です。
保護者様が問題の重要性と間合いを理解していれば、その問題は解かずしてスキップできます。

解けた問題は、再度復習するか否かを判断し、復習する場合は、試験までの残り時間との間の丁度真ん中が目安です。
中間点で再度解ければ、その問題はもう考査までに解かずとも記憶から抜けにくくなります。

なぜか?というロジックは、興味ある方は、下記に詳しく書いてあります。
当たり前の話ですが、「復習した論点は、1回目よりも忘れにくい」ということです。

エビングハウスの忘却曲線とは? 本来の意味やビジネスへの賢い活用法を解説 | THE OWNER (the-owner.jp)

次に市販問題集の各論です。
市販問題集は上述の通り見極めが重要で、判断を誤ると遠回りすることとなります。

小学校受験で「理科的常識」というカテゴリがありますが、下記問題集は非常に逸品。
娘も取り組みましたが、ほぼ全てが小学校受験と逸脱しない問題集は珍しいです。
小学校受験対応と一言書けば、売上変わると思ってます。勿体ない。

上記「かがく」といくつかの理科的常識の問題を照らすと、上述した小学校受験の試験範囲が見えてきます。
下記は受験前の夏、8月下旬に整理したものですが、浮き沈みでいうと、下記で概ねカバーしているかと思います。

理科で更に一例を挙げると、塩水であれば結果が変わる、という幼児向けサイエンス教室で定番の面白い実験があります。
非常に面白いですが、この論点は小学校受験では出たことを聞いたことがありません。
このような範囲を見極める活動も保護者様の役回りです。

因みに、小学校受験に出題されない学習が有用でないという趣旨ではないので、何卒曲解されないようにお願いします。
当座の目的は合格ですから、試験直前期に学習すべきは出題されやすい分野というそれだけのことです。

埋没論点は危険な宝探し

倍率の高い難関校はは応用力を試すために、敢えて過去に出題されたことがない難しい問題を出すこともあります。

これが直前期の落とし穴でもあります。

模試で成績を上げたい、、、
隣のあの子に負けたくない、、、
出題されたら差をつけられるのでは、、、

と思い、万全を期す思いで難問に手を出したくなる方は多いです。
我が家も、お教室通いが相対的に少なかったので、そのような感覚もどうしてもありましたよ。

上図の周囲に点在している赤い埋没論点がこれに相当します。

カバーする試験範囲が仮に2倍になったら、2倍の学習時間があればマスターできるわけではありません。
これは、復習の回転数が異なるからです。学習効率はウォーズマン理論のようにはいきません(流してください)ので、限られた時間で取り組む対象は、多すぎない方が良いです。

学習範囲の最適解は志望校の過去問~小学校受験全体の過去問~受験塾で与えられる教材の全てのどこかにあります。

必要十分な試験範囲は、現時点の立ち位置、志望校群によって異なりますから、目標地点の設定を決めて、ブレずに進めてください。

娘の合格校でも、埋没論点が考査で出題されましたが、退室時に制作物が見えて、皆出来ていなかったとのこと。
どれだけ努力しても、幼児ですからやっていない問題はできないのが小学校受験です。
学校側は敢えて梯子を外して、応用力、諦めない姿勢を見ており、相対的に評価します。

埋没論点の対策は、それを予期して当てにいくのではなく、何が出題されても、クリエイティブな発想をアウトプットする習慣を身に着ける方が、学校側の意図とも整合しています。

具体的には、直前期の奇問で、年齢相応の範囲を超えた難問を時間をかけて、繰り返し学習する場合はご注意を。その問題が出題されない場合、その時間は他者に追いつかれています。いわゆる機会損失です。

逆の立場になっていただければわかりやすいかもしれません。
まだ学習が追い付いていない場合、上位者が対応していて一番脅威に感じるのは、、過去問の範囲を万全に、基礎をしっかり固めていることです。

最後にもう二点。
我が家はサピックスのきらめきシリーズなど非常に有用な問題集でお世話になっていますが、小学校受験に関係ない問題が多く、相性は良いとは言えないかなと。受験が終わってからにしたい所。 
あとは知識問題も同様です。学校はマニアックな草花や昆虫を受験のために丸暗記することを求めてはいません。

結論

よって結論としては下記の通りとなります。

小学校受験直前期の学習につき、
成績上位者は、足元をしっかり固める学習を。
成績がまだ芳しくない方は、模試の成績を気にせず、試験本番で追いつく学習を。

カバーする過去の試験範囲は、過去10年が目安とも言われますが、幅広く回転を。
少なくともコロナ前の出題範囲も抑えてください。過去2年で出題形式が大きく変わった学校は戻る可能性があります。

試験直前期の細かな学習方針は人によって異なりますので、立ち入りません。
本記事も色々考えながら書いていますが、最後は今までやってきたご自身を信じて取り組んでください。

周囲の関係者は、皆応援していますよ!


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