しつけとは?:躾と仕付けの解釈から子供の自律を考える

子育てにおけるしつけに関する考え方、皆さまいかがお考えでしょうか。

しつけというと、「躾」という漢字を想像される方が多いと思います。
躾の意味は下記の通りです。

   躾の意味
①  しつけ。身だしなみ。 ②しつける。礼儀作法を教えこむ。
   出典:goo国語辞書

まさに身だしなみを美しく、という意味ですね。こちら中国ではなく、日本発祥の漢字と言われています。 
しつけについては着物の「仕付け」を意味する解釈も有力で、幼児教育の言語発達研究で著名な元京都教育大学教授の岡本夏木先生は下記のように述べられています。

五歳から七歳の子どもたちは、いよいよしつけ糸をはずしはじめる年齢にあたります。それまでは親が外側から枠組みを与えて、子どもに行為や生活習慣をかたちづくらせていたのですが、いよいよその枠をはずして、子どもが自分の力でみずからの行為や生活習慣を生み出しはじめる時期に入っていきます。 しつけ糸をはずすことは、いうまでもなく、子どもを本人の自律にゆだねることです。しつけとは、もともと自律に向けてのしつけなのです。外からの強制によって社会のきまりをあてがうことよりも、むしろそうした外的強制をとりはずすことをめざすものです。しつけが不要になるようにしつける、といってよいかもしれません。

なお、仕付けの意味は、「躾」の意味の他、下記のように定義されています。

   1 《動詞「しつける」の連用形から。「躾」とも書く。「躾」は国字》礼儀作法をその人の身につくように教
     え込むこと。また、その礼儀作法。
   2 裁縫で、縫い目や折り目を正しく整えるために仮にざっとあらく縫うこと。また、その糸。
    出典:goo国語辞書

 岡本先生のお話と、上記2の意味を踏まえると、しつけとは、着物の形を整えるため、しつけ糸で仮縫いしておくように、子育ても将来を見据えたサポートをすることを意味します。これは、着物が縫い終わると仕付け糸は外される、完成と同時に仕付け糸は存在しないことも意味します。

すなわち、幼児期は形を作るため、支えるためにしつけ糸でが必要ですが、これはあくまで仮、型崩れの心配がなくなったときに自立・自律を促すことを想定して子育てしないといけないということを示唆しています。

ここからの解釈はご家庭それぞれですが、大前提として、「しつけ」の解釈については上記2通りあることを一般教養として抑えておくと良いでしょう。

小学校受験においても、子供の教育方針と絡めて「しつけ」に対する考え方を問われる局面が面接や作文で多々あります。
学校の先生方は、一般教養としてこの考え方を常識として解釈の元、質問されています。ここでどのような回答をするにせよ、その前提として仕付けの解釈を踏まえてお話できれば、深みのあるお話ができます。
昨年2021年秋も洛南小の保護者向け作文で「しつけとは、やがてそれがはずされるものであるという前提に立って行われるべきもの」について考えを述べる出題がありましたが、上記「しつけ」の解釈を知っていたか否かで作文の深さが違っただろうと推察します。

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