元塾講師、公認会計士パパ視点のおすすめ幼児教育、知育教材比較検討、お受験の葛藤

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A.L.C.貝塚学院の閉園・破産申請から経営支援まで:背景を会計士がわかりやすく説明します。

更新日:

皆さまこんばんは、WASABIです。

昨日、珍しく幼稚園関係のニュースがヤフートップに出ました。

3月26日、神奈川県川崎市にある「A.L.C.貝塚学院」から、保護者宛に運営主である有限会社アメリカンラングエイジセンターが、事業継続を断念し、近日中に自己破産を申請するという連絡が入った。

出展:ダイヤモンドオンライン 3月26日

記事によると、卒園式の翌日、突然に閉園の通知がなされ、園児はもちろん先生にも伝えられてなかったということです。
また、こちらの園はあくまで「幼児園」で、幼稚園ではなく、もともと幼児教育の評判自体は悪くなかったです。私もこの園の存在までは知っています。一体、どのような問題があり、今回の報道に至ったのか、解説しながら検証したいと思います。

幼児園とは:ALC貝塚学園の教育内容

こちら、まず幼稚園ではないことが特徴で、いわゆる幼児園です。
運動で人気を集めるバディスポーツも幼児園ですね。幼児園は非認可の園というと聞こえが悪いですが、幼稚園として規制されることがない分、自由に指導教育を行うことが可能です。この貝塚学院も下記の通り色々な早期教育に力を入れており、教育自体の評判は悪くないです。遠方から通う方もおり、私立小学校を受験する方はもちろん、将来中学受験を見据えた教育を希望されるご家庭に人気です。

基礎知能 数遊び、+、-、暗算、幼児用漢字、話し方、読み方、50音の読み書き
記  憶 俳句、紙芝居、劇
体  育 跳び箱、マット、鉄棒、体操、平均台など
書 き 方 鉛筆の訓練、線書き、書道
社  会 地図、集団生活、自立
理  科 自然観察
英  語 英会話・英検(年長で4級・5級多数合格)年長週4回、年中週3回、年少週2回
絵  画 大きく、色彩豊かに
音  楽 リズム、歌、木琴、ピアニカ、ハーモニカ
水  泳 室内プール

この指導内容は実際に見たわけではありませんが、目指す方向性として悪くないでしょう。それぞれ別に習い事に通うと、非常に高額になります。近隣に系列関連会社のALCアルファウイングという施設があり、まずまずリーズナブルな価格で指導しています。

数の多寡は判断できませんが、1週間前のブログで、体操教室の下半期の皆勤賞が45名と記載しています。それなりにお子様もいると推察されます。報道によると300名ほどの園児がいて、新入学予定は70名ほどとありました。単純計算すると確かに減少傾向ですね。

悪すぎる財務体質と銀行の甘い対応

ダイヤモンドの報道によれば、帝国データバンクの情報から、かねてから債務超過の状況にあったようです。
帝国データバンクに対する情報提供は税務申告と異なり、強制ではありません。決算書を提出することで会社の評点が上がり、銀行や取引先の与信が確保でき、融資を受けたり取引ができたりすることとなります。決算書を提出しない場合、自己申告や無回答で、その結果を決算書なしの情報としてそのまま登録します。帝国データバンクへ登録している会社は、簡単にこの情報を入手することができますが、決算書なしの数字の情報は、根拠がなく本当かどうかわかりません。

極論を言うと、データバンクは決算書自体が本当に正しいかどうかまで見ませんので、このあたりの情報の利用は自己責任となります。このような前提の情報になりますが、情報は1200円程度で簡単にネットで入手できますので、わかっている方はこの経営母体が非常にまずい状態にあることがわかっていたことになりますね。
数字が追える範囲なりますが、ざっと年間売上の2倍以上の借入があったと思われます。売上の利益率にもよりますが、これは相当な負債比率です。

また、運転資金としたいのか、園が10万円以上の預け金を利子付きでお願いしていたとか。記事では「債券」という言い方をしていましたが、このような言い方はおかしいですね。「幼児園」が学校債の発行のようなことはできません。
資金繰り的にも1週回ったら(預かった金額を返還して自転車操業に陥ったら)、利息の金額だけ支出額は大きくなりますし、入園児が減少したらダイレクトに経営に響きます。

また、ダイヤモンドの情報によれば、銀行融資においても利子の返済だけで元本を返済していなかったとのこと。途中から返済しなくなったのであれば、一番考えられるのが業界の言葉で「リスケ」をした可能性が高いです。
通常、個人も法人もお金を借りたら、毎月決まった期間内に、利子を含めて返済しますよね。その明細は元本部分と利息部分に分かれています。ところが、銀行との協議の後に認められると返済計画のリスケジュールを行い、事業が軌道にのるまで、元本部分は返済せず、利息部分のみ返済することができます。

この状態になると、新規融資は難しいですが、折り返し融資を受けているのと同じ状況になります。(返して、借りたのと同じ)。リーマン後にできた中小企業金融円滑化法により、銀行は厳しい財政状態の会社に対しても、支援することを求められるようになりました。
最近は誰が言い始めたか知りませんが「ゾンビ企業」という言葉が使われ始めています。一昔前だと見捨てられて倒産していた会社が銀行の理解によって、なんとか生きながらえるようになったものの、元本は減らず、本業の数字が改善しないまま延命しているにすぎない状態の会社のことです。

貝塚学園の経営実態はまさにこのような状況だったことは間違いないでしょう。

そして、本年始まる予定の認可幼稚園無償化の流れを受け、入園希望者が減ったということは、幼児園で「債券」と呼んでいる預け金の返還割合も増えます。

このような背景で破産申請の意向を固めたものの、わずか1,2日で同じ川崎市の会社(株)サンが支援の意向を固めたと報道されています。

このあたりの詳細はわかっていませんが、上記の幼児教室自体の指導や理念は間違っていないと判断したのでしょうか。もしくは幼児達への大義でしょうか。

いずれにしても、経営自体しっかり行えば、改善していくと判断したのでしょう。どのような支援が行われるのか、どのように今後運営されていくのか、非常に興味ありますが、まずはここに通っているお子様や、4月から通うことになっていたお子様を救うこととなります。この点は、非常に意義があると思うし、敬服します。

振り込んだお金が返ってくるのか

ナイーブな論点なので、慎重にお話します。
報道によれば、新年度の入学予定者は70名です。当園は事前に振り込みで40万円程度要するでしょうから、上記「債券」を含めて結構な金額になります。

このような騒動を起こした園ですから、通わせたくないというご家庭も多いでしょう。新年度のために振り込んだお金の返金要求ができるかという答えとしては、前経営陣に回答する権限がないと言えます。破産申請する場合はもちろん、支援を受ける場合も、支援を受ける先の意向を無視できないからです。この支援の形にも事業譲渡など色々あります。債務超過状態なので、譲渡にかかる金額は少ないと見るほうが妥当です。
支援する企業が、ご家庭の意志を尊重するかということになりますが、これまで通り事業継続することになるのであれば、お金の返金を実現するのは容易ではないかもしれません。

この園の対応については色々な意見が出てくるであろうと思いますが、子供たちのことを思うと、なんとか継続して立ち直ってほしいと思います。

 

 



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