公文は幼児・小学生を中心に全国に生徒を抱え、日本で最大の学習塾といってもよいかもしれません。
2018年度12月末の段階で、算数で634,949名、国語が459,660名、英語が377,400名もの生徒が通っています。
公文は内部生に科目別、学年別にトップ20を開示しています。今回、優秀者の進度がどのようなものか、具体的な勉強内容に照らして検討していきたいと思います。
娘は現在、算数はB、国語がAⅡです。二年連続、高進度として認定されてオブジェを頂いており、年長では頑張ればGまで行ける可能性があります(実際、その目標で公文教室でも進めてもらっています。)
しかし、、更にその上、ベスト20はただものではありません。
算数はどちらかというと、とりあえずひたすら進むという荒業で進めることが可能ですが、国語はそのような進め方は難しいと言えます。なぜなら、国語は途中で漢字が入ってくるので、しっかり漢字と併せて文章を読み、読解できないと先へ進めないからです。
裏を返せば、漢字が読めれば着実に先へむことができます。
では科目別、年次別にトップ層の進度を見ていきたいと思います。
算数・数学
幼少未満
こちら未就園児ですが、Cが4人、Bが13人もいます。
幼稚園に通っていない3歳以下の子供というか、おむつがとれるか否か、という年齢の子ですが、足し算、引き算の筆算や掛け算をやっています。トップの方は掛け算の筆算のようですね。
九九は覚えれば良いので、なんとか未就園児でも可能でしょう。
Bの筆算は、未就園児にとっては厳しいはずです。このあたりは公文に1歳から通い、全ての情熱をかければ可能と思われ、まだそれほど衝撃ではありません。
年少
一気にレベルが上がり、Gが2人、FとEで1人ずつ、あとDはたくさんいるようです。
Gは方程式が終盤に入ってきますので、その手前まで終わらせていることとなります。
このトップ層もさることながら、驚くのがDの数が多いこと。
分数までいっているお子様も数名おりますが、掛け算、割り算の筆算がたくさんいることを示唆します。
まだ年少ですので、この進度は素直に驚きです。
年中
更にレベルが上がります。なんとトップはJ、次にIが2名、Hが6名。
Jは因数分解、Iも2次方程式、1次関数など。娘が年中なので、リアルに差を感じます。
また、お子様の実力もイメージできます。
どのような事情であれ、ここまで進んでいて、実際に自分の力で解けているのであれば、まぎれもなく相当の実力者です。
まだ4歳~5歳ですが、、、
年長
今も光の速さで広がり続ける宇宙のごとく、更に高みへ上がります。
Lが1名、Kが2名、Jが7名、Iは珍しくなくなります。
Lは微分・積分も入ってきているようですが、、、この教材、私もここまでいきませんでしたので何とも。
取材したいぐらいです。自分で解いているんですよね、、、
ただ年長であれば論理的な思考ができつつあるので、特化集中して取り組むことにより、高難度な取り組みも対応できるんでしょうね。
算数先取りの法則を考える
私個人の見解では公文の算数の先取り年数の限界は
y=1/2 X²+1
で計算するとしっくりくると考えています(yが先取り年数、xが今の年齢)。
1歳であれば1.5年先(鉛筆をまともに握れないので限界あり)
2歳であれば3年先(運筆能力に限界あり、せいぜい園児レベル)
3歳であれば5.5年先(小学校低学年)
4歳であれば9年先(全国トップ層は中学生の内容へ)
5歳であれば13.5年先(差が広がり、全国トップ層は高校レベルへ到達)
いかがですか?(笑)。
国語
幼少未満
Cが1名、Bが4名、今の娘と同じAⅡが9名。
ふむふむ、AⅡがランキングされているのでイメージできます。
Cでは主語・述語のみならず現在、過去系の表現で、漢字を織り交ぜて表現しなければなりません。
まともにこなしているのであれば相当のレベルです。
年少
算数と同じくレベルがあがりますが、まだ算数より緩やかかもしれません。Fが2名、Eが1名、Dが7名。
ここで驚くのが、、、Fの文章題、普通に漢字にフリガナがないのですが、、、、漢字が読めないと、進めることは困難です。途中、漢字を勉強しながら進めますが、漢字を繰り返し読み書きする教材ではないので、読み書きは覚えなくても先へ進めてしまいます。ここで内容を理解していないと、後に苦労するわけですね。
年中
Gが3名、Fが7名、Eは多数。
Gの教材、夏目漱石の「坊ちゃん」をもとに文章題を解いていく問題でした。これ、年中ですよね、、、、
娘はこれはできないな~。繰り返しになりますが、漢字を読めた前提の教材となります。
算数に比べて、とりあえず進むということが難しい教材かと思います。
年長
遂にJが1名、Iが1名、Hは11名。
紀貫之の土佐日記。古文です。古文?年長で古文?
つい連呼してしまいました。年長はまだ日本語でしょうと言いたい突っ込みは置いといて、とにかく進みすぎ。
凄いです。
早く先に進んで効果があるの?
この議論は面白い所です。
公文の学習は算数・数学で凡そ9割5分、国語が凡そ8割が、認知能力の教育です。
認知能力の教育とは、どちらかというと答えが一つのものを学習する教育で、これは2020年以降に非認知能力の教育を目指す学習指導要領とは合わないようにも思えます。
非認知能力はどちらかというとプロセスを重視する学習です。
当ブログでなんどか説明してきましたが、ヘックマンという著名な学者が、認知能力は長期的なIQ向上に寄与せず、寄与するのは非認知能力の学習だと提唱しています。
しかしながら、概念上非認知能力が重視されても、土台として認知能力がなければ日本において様々な議論を行うことが困難となります。応用を利かせるのが枝で、それを支える幹はやはり必要です。
入試で例えるならば、誰も思いつかない思考が今後評価されるとしても、その前提となる思考や文章力、表現力の前提として、高い認知能力は欠かせないからです。
年長で坊ちゃんを読解でき、漢字も内容も理解できるお子様がいるとして、そのような方がアホであるわけがありません。
また、中学校に入ったら伸び悩むとも思いません。既に中学校レベルの内容をやっているわけですから。
公文生はデータからやや二極化が進んでいるように感じますが、活用する場合はとことん活用して、突き抜けた実績を上げるのが良いと考えます。
教室選びで気をつけたい点
上記公文の教育効果と並び、よく公文生で話題になるのが、早く進むための教室選びです。
公文では先へ進むことでオブジェをもらったり、幼児優秀児となったり、KUMON未来フォーラムに参加出来たり、進度に応じて表彰されます。
このため、早く進むことができる教室、優秀者が多い教室が良しとされる傾向があります。
この点、教室指導者側の視点になって考えていただきたいと思います。
教室運営をするにあたり、優秀者を出せば評判が高くなり、生徒も増えると考えるのは誰でも思いつく発想です。
このため、先へ進みたい生徒との意向が合致した場合、とにかく宿題をたくさん渡して、どんどん先へ進ませることが目的となります。
枚数を増やす分、上手に理解させるか、生徒にかける時間も比例して増えるのであれば、良い教室です。
かける時間が変わらず、ただ枚数だけ増やすのであれば決して良い教室とはいえません。
それこそ、最近非難されている認知能力重視の勉強方法に陥りがちです。
例えば、私の通っている都心の校舎は、先生の数が非常に多く、1人当たりのかける時間が長いです。
全教材終わらせた有名な方も輩出している校舎で、歴史もありますが、その進度といえば、個人の希望に合わせつつ、何回も何回も取り組みます。着実に力をつけてから先へ進ませるためです。時に2時間ぐらい時間をかけます。
これは私が中学生以降に結果を出した勉強スタンスと同じなので非常に共感が持てます。
教室の良しあしを判断する基準は、教材をたくさんくれるという点ではなく、教え方が上手な先生が多いかどうかや、1人1人の希望に即してきめ細やかなサポートがあるかどうかにつきます。
教室選び自体は大事なことですので、判断は慎重にしていただければと思います。
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