本年、急激にキャッシュレス決済が進み、還元率が高いサービスもあり非常に注目を浴びています。
そして、同時に大規模な取り組みがなされているのがBank pay(バンクペイ)です。
こちら、J-Debitを運営する日本電子決済推進機構(JEPPO)が今秋から始めた新サービスです。将来的に信金なども含めた1,000以上の銀行口座を対象として、ユーザーがデビットカードのように直接銀行口座から引落し、決済できるようになります。
加盟店の導入と利用方法は極めて簡単です。
MPM方式という決済方式が採用され、金融機関と契約後、お店のタブレット端末で登録し、QRコードを通じてアプリをインストールした利用者が決済するだけです。また、QRコードがあればよいので、予め決まったQRコードを窓口に置いておくだけで取引もできてしまいます。
このサービスは今後小売店中心に広く普及する一方、当面はユーザー側で全く盛り上がらないと予想します。
サービスは既に開始していますが、既に盛り上がっていない様子がわかりますね。リアルでもネットでも誰もおすすめしていません。
この理由は下記のとおりです。導入する加盟店、利用者双方のメリットを比較してみましょう。
加盟店・利用者のメリット
加盟店側のメリットと特徴
・新たなシステム導入の必要なし
・QRコードを読み込むだけで導入コストが不要。
・一つの銀行と契約するだけで、全口座引き落とし対応可
・加盟店の手数料率が1%台と激安(通常のクレジット決済は低くても2.5%~3%程度)
・3営業日後に入金と迅速
素晴らしいメリットです。お店側は手間なく、初期費用なく、導入できますし、お客が利用した際の決済手数料も概ね1%程度多いです。これはお店側にとってとても大きなメリットです。加えて、各企業が契約できる金融機関は1行だけというルールがあり、取引金融機関が営業に来ますので、間違いなく普及が促進します。
利用者側のメリットと特徴
・将来的には全銀行の口座利用が可能
・銀行の決済インフラを利用するので安心
あれ?と思った方は、たぶんその直感は正しいです。
利用者側も、簡単に利用できるという点は共通します。しかし、これだけキャッシュレスが普及し、他サービスであればポイントを含めて還元が10%だったり20%だったりある状況下で、このサービスを使いますか?
この条件であれば、デビットカードが使いやすくなったに過ぎず、新たなユーザーの獲得は難しいでしょう。
Bank payのメリットは加盟店に大きく偏っている
このように、Bank payは現状、構想とマーケティングは素晴らしく、普及に関しては問題なく広がると思うのですが、どこのお店にもある割には、極めて利用者側の利用率が低くなると予想します。
現状、利用者側が使う理由がないからです。
今のところ、利用者側のメリットは「支払いが簡単で安全ですよ!」これだけです。
隠れたメリットとしては、現金決済による健全な財務管理がありますが、これは現金決済全てに共通するところでまだ弱いですね。
金融機関という特性からpaypayのような目立つ還元施策を打てないのは理解できますが、利用者側の利益を考えないと、この大規模プロジェクト自体が失敗ということになるでしょうね。
でも、十分な普及ができている以上、いつでも起爆剤を投入して挽回可能なのは事業として羨ましい限りです。
施策一つで利用者が急増しますからね。
つまり、今後に期待です!!
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