東京学芸大附属幼稚園小金井園舎で行われる園児の試行錯誤と成長

東京学芸大学附属幼稚園は緑豊かな大学のキャンパス内にあります。ここでは、国立大学法人東京学芸大学の附属校として、幼児教育に関する実践研究が行われています。

園は3年保育で各2学級ずつの学級編成で、定員は150名です。
教育目標は「人や身近な環境に関わる中で、主体性と共同性を持ち、明るく伸び伸びと自己発揮する子どもを育てる」
具体的には、「感動する子ども」、「考える子ども」、「行動する子ども」を目指す子供像として挙げています。

大学の門から幼稚園の門まではケヤキやイチョウがあり、四季の変化を肌で感じることができる恵まれた環境です。
これらの教育方針は、フレーベル、モンテッソーリ、シュタイナーなどの教育方針それぞれの、いい所取りをしたようなイメージで、幼児教育の質の充実を図るべく、日々研究が行われています。

この中で、よく取り上げられるテーマが「遊び」です。

園では、登園するとすぐに友達と遊ぶ時間が確保されています。園では、一般的な幼稚園で見られるような、個人で遊ぶ時間と集団で一斉に取り組む時間の区別が明確にしていません。週ごとの目標に従って、子供の経験の連続性を重視して行動していきます。

子供たちは、自分のやりたい遊びを自分のやりたい場所で行うこととなり、同時進行で複数の遊びが園内の色々な場所で展開されていくこととなります。

この連続性の過程を教育者が記録することで、子供の遊びには、遊びを通じて試行錯誤を繰り返していることに気づきます。
物の特徴や性質を知り、自分なりに扱い、試し、工夫して挑戦するといったプロセスを繰り返します。

これは下記のように分類でき、徐々に高次元の取り組みへ発展していきます。

扱う:感覚、運動を中心として学ぶ→見た目の変化など
試す:直観的な仮説を通して学ぶ→道具の使い方など
工夫する:これまでの経験や知識をもとにした仮説を通して学ぶ。→他のものとの関連など
挑戦する:自己課題を追求して学ぶ。→他の組み合わせから役立つものを探すなど

これらは、ビジネスの現場で古くから言われるPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)と似ていますね。これも繰り返し、試行錯誤するという点でも共通しています。

強いて言えば、幼児期は計画から始まりません。前のデータがないので、Doから入ります。ただ、Doから入っていくものの、幼児なりに知識と経験を蓄積して、ぐるぐる回転する点では同じですね。

娘が通っているお受験幼稚園では、受験向けのしつけが重視され、集団活動も多いです。このため、小金井のような、子供の自主性を重視した取り組みは薄いです。これは、自分の欲求を制御して、集団活動を問題なく行えるかという視点で違いが表れます。

小学校受験においては、集団行動が試験で必須であるほど重視され、個人的なわがままは嫌われる傾向にあります。
昨今の教育においては個人の多様性を認め、支持され、尊重される傾向があるものの、それを取り巻く社会はそのようになっていないのも実情です。

個人の意思を尊重した試行錯誤という考え方は、先進的でもある一方、一長一短の一面もありますね。
この考え方に対する答えも、20年程先には概ね結果が出ていることでしょう。

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