小学校受験の合格難易度を示すランキングは存在する?

小学校受験にあたり気になるのが「合格難易度」です。
当ブログでも偏差値の記事のアクセスが多いのですが、ご家庭の総合力が試されるお受験においては、測定評価が難しい所。

現在、参考となる指標には大きく下記3点が挙げられます。
それぞれ何が良くて、何がダメなのか示したいと思います

・志願者数・倍率
・附属中学校の志願倍率・偏差値
・幼児教室模試の偏差値

実際のところ、上記は難易度を示す指標としては全て不十分で、現時点で小学校受験の難易度を直接示す適切な指標は存在してません。これは間違いないと思われます。それぞれ役に立つ一面もありますが、実際に試験を受けてみると実態と乖離している点も多いです。

私見になりますが、それぞれの特徴は下記の通りです。
それぞれ、個別具体的に補足説明したいと思います。

 網羅性信頼性実態反映ニーズ
志願者数・倍率
附属中学校の志願倍率・偏差値
幼児教室模試の偏差値
私立小学校・国立小学校の難易度指標と特徴

※信頼性は数字自体の信憑性、実態反映は小学校の難易度を的確に表すか、ニーズとはご家庭の関心度合いを示します。

目次

志願者数・倍率

志願者数は一部の学校が開示していますが、情報の出所は限られています。
幼児教室を除いて、各学校の志願者数が網羅された情報の出どころはほぼ下記3つです。

小学校受験の「お受験じょうほう(関東首都圏版)」 (ojuken.jp)

小学校受験・幼稚園受験・幼児教室情報の総合サイト|お受験インデックス (ojyuken-index.com)

③日本一わかりやすい小学校受験大百科 完全保存版 (プレジデントムック)

志願者数のメリット
・数字に一定の信頼性がある。
・比較数字としてわかりやすい。
・過年度比較が容易で有用。

志願者数のデメリット
・受験日を考慮していない(前の方が受験者増、後の方が辞退者増)。
・実際の合格者数、補欠合格を考慮していない(定員で計算すると実態を反映しない)。
・実際の受験者数を考慮していない(辞退者は本来控除すべき)。
・受験者数を公表していない学校も多い。

志願者数は、一番無難な唯一の指標かもしれません。
実際の志願者数が公式情報も含め、上記複数の信頼あるメディアで判明するので、数字に一定の信憑性があり、開示されている範囲内で網羅性もあります。また、同じ学校であれば、過年度との比較も容易です。

しかしながら、大きなデメリットがあります。
志願倍率は定員と比較して算出されますが、一部わずかな最難関校はほとんど定員で合格を出す一方で、多くの学校では定員より多めの合格者数を出します。

例えば、神奈川の最難関私立小の一つ、洗足学園小学校は合格者や入学者まで開示しています。
2020年度は、定員が内部進学を除いて50人のところ、実際の合格者数は118人で、2.3倍以上の合格者を出しています。
辞退者を除いた実際の入学者は40人で、16名の補欠合格を出しています。
これを加味せず形式的な定員で計算すると、実態と乖離することとなります。

洗足は神奈川で非常に難しい学校であるのは事実で、神奈川の多くの私立小はもっと辞退者が多いと思われます。
辞退者を加味して合格者を出すか、補欠合格を出すこととなります。

更に実際の受験率についても、11月上旬をピークに、試験日が後になるにつれて減ってきます。
第一希望の学校に合格した後、試験を辞退する方は非常に多いです。

影響を受けやすいのは11月の中旬以降に試験がある私立小と国立小です。
志願者数が多く、実際に人気がある横浜初等部でさえ、一次と二次、両者で1割~2割の辞退者がいます。
これは出願はしたものの、その前に有力な学校の合格発表があるためです。

このように、定員と志願者だけで算出した数字は、難易度を示す指標としては実態から離れた倍率となります。
同じ学校で過年度比較すると、同じ条件下で比較できますので、比較的正確な指標を示すでしょう。

【小学校受験】首都圏私立小学校の志願倍率ベスト20と次年度予測 | 幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)

附属中学校の志願倍率・偏差値

中学受験は受験者も多く、学習塾の情報開示、中学校の情報開示共に進んでいます。
ほとんどの学校で最終倍率どころか途中経過も開示しており、同じ系列でもこの差は一体何なんだと思うほどです。

このため、附属中学校で開示される志願者や、その前提としての偏差値は非常に信頼性が高い一方、時間的なズレと進学状況から、問題も生じます。

附属中学校の志願倍率・偏差値のメリット
・数字の信憑性が非常に高い。

附属中学校の志願倍率・偏差値のデメリット
・小学校生活で得られる学習効果・ブランドが反映されない。
・小学校受験では、ペーパー以外の要素も多く、出題分野も異なる。
・中学受験する私立小、内部進学で競争がある国立小では違った評価となる。

附属中学校の偏差値は、ほぼ内部進学する学校では参考になるものの、ほぼ全員が中学受験するような小学校では、違う学校へ進学する期待値が含められるべきですから、違う学校として考えるべきです。

また、国立小でも同様で、小学校時代に学ぶ実験校としての6年間を充実したものとして考えることができる一方、中学校、高校とまず進学のための厳しい競争が待っています。エルカミノなど、筑波向けの内部進学講座などありましたが、内部進学も大変ですし、中学に入ってきても中学受験組のかなり優秀な子供と高校進学のために競争することとなります。

この他、中学受験はほぼ親の試験ではなくなりますから、小学校受験と試験の測定評価基準が全く異なります。
このため、中学受験に係る数字は、比較はしやすいものの、直接あてはめるのは難しいものがあります。

【小学校受験】私立小学校の倍率・附属中学校偏差値と難関中学校合格率比較 | 幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)

幼児教室模試の偏差値

幼児教室の模試では偏差値が算出され、それぞれの偏差値目安が講評で示されることもあります。
こちらは小学校をズバリ対象としているため、中学校よりは的を得ていると思いますが、あくまで模試なのでご家庭の属性が何ら加味されず、やはり足りない点があります。

幼児教室模試のメリット
・数字で明確に比較することができる
・複数校の合格可能性を一度の模試で把握することができる

幼児教室模試のデメリット
・受験日を考慮していない(前の方が受験者増、後の方が辞退者増)。
・実際の合格者数、補欠合格を考慮していない(定員で計算すると実態を反映しない)。
・生まれ月による違いが加味されない。
・模試偏差値を一覧にした公式な表がないため信憑性にかける。
・小学校受験では、ペーパー以外の要素も多く、出題分野も異なる。

幼児教室の模試では偏差値が算出され、上述した2つに比べて直接的に難易度を示す指標になりますが、こちらも問題があります。

幼児教室の模試偏差値はご家庭の属性や学校との関係、願書など、受験に重要な他の要素が含まれていないので、片手落ちになります。大学受験のような偏差値ランキングが存在しないので、幼児教室の講評なく、この数字を一覧にまとめるのは困難です。

講評があった範囲内では下記にまとめましたが、全ての学校では信憑性あるランキング作成は難しいところです。
これができるのは大手幼児教室数件に限られますが、小学校受験では主題分野もそれぞれ異なり、違う学校同士で比較するのはややナンセンスな所もあります。偏差値は参考程度に留めるのが良いでしょう。

【2021年度】国立小・難関私立小学校受験:合格偏差値ランキング(大手幼児教室模試より) | 幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)

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