今日は私立小学校の志願倍率がテーマです。
最新の志願倍率と傾向から、次年度予測及び対策を考えたいと思います。
まず志願者倍率の定義ですが、志願者(出願者)と受験における倍率・合格者・定員の考え方は様々です。
受験倍率の定義は
受験倍率=受験者÷合格者
です。この点、受験者の定義、合格者の定義により解釈が変わってきますのでご注意ください。
受験倍率を判断する場合の留意事項
①合格者は定員ベースなのか実合格者数なのか(実合格↑→倍率↓)
②出願者と受験者には乖離がある(受験者の方が↓→倍率↑)
③補欠合格が加味されているか(補欠いる→倍率↓)
④定員・合格者に内部進学が含まれているか(含む→合格者↓→倍率↑)
「プレジデントファミリー日本一わかりやすい小学校受験大百科 2020完全保存版」によると、
最新の志願倍率は下記の通りです。ソースデータは学校発表の数字の他、伸芽会のデータを用いています。
洗足学園小学校の倍率から、合格者は少なくとも判別できる限り、実合格者を採用していると思われます。
志願者・受験者数については明確ではありませんが、受験者数がわかれば受験者数を採用していると思われます。
比較できるよう、2021年の参考情報も加えましたので、こちらは参考としてください。
順位 | 小学校名 | 2020 | 男子 | 女子 | 2021 |
1 | 慶應義塾横浜初等部 | 13 | 11.6 | 15.1 | 13.7 |
2 | 東京農業大学稲花小学校 | 12 | 13.1 | 10.9 | 12.9 |
3 | 慶應義塾幼稚舎 | 11.6 | 10.1 | 14.7 | 12.2 |
4 | 学習院初等科 | 8.9 | 8.7 | 9.1 | 9.4 |
4 | 早稲田実業学校初等部 | 8.9 | 7.9 | 10.7 | 9.1 |
6 | 雙葉小学校 | 8.3 | ー | 8.3 | 10.7 |
7 | 桐朋学園小学校 | 7.8 | 10.4 | 5.1 | 8.4 |
7 | 東洋英和女学院小学部 | 7.8 | ー | 7.8 | 11.8 |
9 | 立教女学院小学校 | 6.3 | ー | 6.3 | 6 |
10 | 光塩女子学院初等科 | 6.2 | ー | 6.2 | ? |
11 | 青山学院初等部 | 5.6 | 5.8 | 5.3 | 5.9 |
12 | 東京女学館小学校 | 5.5 | ー | 5.5 | 5.7 |
13 | 成蹊小学校 | 5.2 | 5.4 | 4.9 | 5.4 |
14 | 聖ドミニコ学園小学校 | 4.8 | 4.6 | 4.9 | 6.2 |
14 | 桐朋小学校 | 4.8 | 6 | 3.5 | 6.1 |
16 | 田園調布雙葉小学校 | 4.7 | ー | 4.7 | 5 |
16 | 洗足学園小学校 | 4.7 | 4 | 5.5 | 6.2 |
18 | 暁星小学校 | 4.5 | 4.5 | ー | 4.7 |
18 | 森村学園初等部 | 4.5 | 4.4 | 4.5 | ? |
18 | 横浜雙葉小学校 | 4.5 | ー | 4.5 | 4.5 |
※表面倍率ですので、実際の受験者が少ない場合・補欠合格を含めると倍率は緩和されます。
2021年度は全体として志願者が増え、難化傾向が顕著です。
まず、1位はつい最近記事にて紹介させていただいた慶應義塾横浜初等部、また3位には慶應義塾幼稚舎。慶應2校は今年も10倍を超えています。横浜初等部は歴史が非常に浅いですが、横浜ですので受験しやすい日程が組まれ、非常に多くの人気を集めています。幼稚舎との大きな違いは、進学ルートと宿題など勉強に対するスタンスの違いです。幼稚舎は宿題を重視しませんが、横浜初等部は普通に勉強をさせます。このため、W合格した方のうち一定数は横浜初等部を選択する方もいるようです。横浜初等部は最終的な大学進学先の学部で不利な面はありませんが、中高を湘南藤沢で過ごすこととなります。
次に、当ブログでも昨年11月にご紹介させていただいた新設の農大稲花小学校。
こちら初年度のプレミアムに加え、受験日が選択可能ということもあり、倍率が非常に高くなりました。
しかしながら、願書を出してみたものの、受験をしなかったケースが多いと推察されます。なぜなら、早稲田実業など、願書を出してみて初めて受験日がわかるケースも多いからです。事実、私も質問ブースでその旨を直接伺いました。
農大稲花小学校は、一定の人気を維持しながらも、流石に倍率がこれ以上上がることはないと予想します。
4位には学習院と早稲田が同率で入っています。志願倍率では、慶應と比較して差があります。学習院では男女ほとんど差がありませんが、早稲田は募集人員が異なることから、女子では10倍を超え、非常に難関です。しかしながら、早稲田は日程が読めにくいことから実際の受験率が慶應義塾幼稚舎と比べて低い傾向がありますので、実際の試験は男子で特に低いです。
学習院は非公表で、2021年度はまだ情報が入ってきていません。
6位には雙葉。また16位には田園調布雙葉、18位には横浜雙葉小学校がランクインしています。雙葉は試験直後の伸芽会の動画説明会でも10倍以上というコメントを出していましたが、毎年受験番号や掲示される合格者番号でわかります。
7位には桐朋学園と東洋英和。東洋英和はもともと11倍程度の高倍率でしたが、試験日を激戦の11月1日にしたことから日程が被り、受験生が激減しました。2021年度は1日が日曜日ですので、試験日を2日に戻し、併願が可能となって倍率が戻りました。
受験誌でさえ、東洋英和の人数が増えた!と記載していますが、もともと東洋英和は人気校。試験日の関係で割れていただけ、というのが真相です。2022年度も試験日を2日にしてきましたので、今年も倍率が高くなりそうです。
11位以降、徐々に倍率が下がってきます。青山も名門校で、幼稚園では最難関ですが、小学校では5.6倍。当ブログで一押しさせて頂いている洗足学園小学校も4.7倍から6.2倍と上がってきましたね。
次年度倍率予想
さて、2022年の11月は倍率はどうなるでしょうか。これまでの調査から根拠とともに予測します。
農大稲花小学校は受験形式の変更あり
農大稲花小学校は、2021年度まで複数回受験という珍しい形式で募集をしていましたが、2022年度は2021年11月1日~4日からの日程選択式に変わりました。
これまで試験を複数回できるというメリット?もあり多くの延べ受験者を集めましたが、2022年度は一般的な受験方式になりましたので、受験倍率も影響を受けるかもしれません。
受験者数が昨年と変わらない頭数となれば、700人前後と予想されます。定員は72名で、2021年度の合格者は98名ですから、
定員ベースで計算すると10倍弱、合格者ベースで計算すると7倍前後になるのではと予想しています。
【2022年度】東京農業大学稲花小学校の特徴、受験倍率考察、内部進学 | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
洗足学園小学校の倍率維持
洗足学園小学校は何度か記事で取り上げた通り、非常に高い中学校の合格実績を継続して上げています。
昨年から繰り返し上昇すると予想していましたが、4,7倍から6.2倍と急上昇し、最近は雑誌でも取り上げられることが増えてきました。
洗足も合格者を開示しており、合格者ベースでの倍率は下がりますが、毎年同じ方法で受験しているため、比較しやすいです。
2019年頃は私が一人推しているだけでしたが、直近は権威ある機関からの評価もあり、倍率は同じく高い水準で維持されることが予想されます。
東京都市大附属小学校の倍率維持、上昇
東京都市大附属小学校は、ご近所の農大稲花小学校と下記比較するとわかりやすいです。
・農大稲花小学校は前年新設
・農大は中学受験をする場合、内部進学の権利を放棄することになるが、都市大は権利をもったまま受験できる。
・都市大附属小学校は中学受験最難関校の合格実績が良い。
・都市大の内部進学先の中高も大学受験の実績を大きく上げている(農大一校と同等)。
上記は全て事実ですが、どう思われましたか?
大学受験まで考えると、都市大の方がより高いレベルに行けそうな気もしませんか?
程なく世間がこれに気づき、農大稲花小学校と都市大附属小学校の差が縮まると予測します。
↑ここまでが昨年の予想ですが、やはり志願者が男子25名、女子17名増え、難化しました。
しかし、まだ少ないな、、と思います。
東洋英和女学院初等部の日程
東洋英和女学院初等部も週刊誌で昨年の倍率上昇を取り上げられていますね。
これは昨年の形式的な比較では上昇していますが、これは2021年度の11月1日が日曜日だったことから、プロテスタント校は試験をずらす傾向がある前例に則り、試験が集中する1日から2日に変更したことが大きいと思われます。
2018年度以前では2日に実施していて倍率が高かったので、長期的な推移をグラフで取るとその信憑性が伺えます。
東洋英和女学院小学部の受験情報(試験日程、倍率変動理由、内容、進学実績、合格実績がある塾) | まなのび:幼児教育と教材の効果を検証するブログ (grow-child-potential.com)
なお、今年も2日にするという発表がありました。今回は曜日と関係ないはずですので経緯はわかりませんが、日程維持は事実です。よって、他の女子校と並んで高倍率を維持するでしょうね。
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