2021年の慶應義塾幼稚舎の学校説明会は中止となりました。
下記に昨年度、2019年7月6日~7日に広尾の慶應義塾幼稚舎で行われた学校説明会につき、有意義な内容でしたので要旨をご説明します。
説明会日程は下記の通りで、合計4回行われました。
1回目 | 2019年7月6日 | 土 | 9時30分~11時00分頃 その後希望者学校見学 |
2回目 | 2019年7月6日 | 土 | 14時00分~15時30分頃 その後希望者学校見学 |
3回目 | 2019年7月7日 | 日 | 9時30分~11時00分頃 その後希望者学校見学 |
4回目 | 2019年7月7日 | 日 | 14時00分~15時30分頃 その後希望者学校見学 |
配布資料は計8ページの下記冊子。主に説明会でお話した内容の要約版です。
進学状況などここにしか書いていない情報もあり、参加する意義が大きいイベントです。
説明会当日の留意事項
慶應幼稚舎は、私学協会や幼児教室などが主催する合同学校説明会に参加していません。
このため、今回のような説明会は学校を知ることができる数少ない機会の一つです。事前に申し込みが必要なく、また服装も軽装で良いと明示されているので、比較的気軽に参加することができます。
参加者を見る限り、感覚的には8割~9割がスーツでしたが、ジャケット・ネクタイのない方もそれなりに多く、夏場の開催ということを鑑みれば神経質になる必要はないと考えます。
説明会は、開始の30分前を目安に会場入りするのが良いと思われます。
なぜなら、事前に説明会の予約が必要ない分、参加者が偏ったり多すぎたりするからです。
特に初日の午前の部は混み合います。もし会場に入りきらなければ第二会場に誘導されることとなります。
説明会後の学校見学をする場合は、第一会場の参加者が全て退出してからの移動となりますので、20分~30分程度
その場で待たされることとなります。このため、後で待つことになるのであれば、早い目に会場入りして、早く見学をしたほうが良いかもしれません。
私は今回、2日目の午前の部に参加し、9時少し前に会場入りしましたが決して早い方ではなく、下記のように埋まっていきました。
9:00前:既に5割近く埋まっている。
9:15頃:9割埋まる。
9:20頃:第一会場満員
但し、この後も第二会場に入れたようですので、2日目に限ってはぎりぎりに来ても参加自体は出来たと思われます。
説明会の詳細について
説明会でお話された内容要旨をまとめておきます。
武田敏伸舎長より30分程度、学校特徴、概要についてお話
・慶應幼稚舎の位置づけ
福澤先生の建学の精神は慶應全体に共通する考え方であるが、同質性の中で多様性を認めるので、他の学校と異なる点がある。
例えば、横浜初等部は2年おきにクラス替え、担任も変わるが、幼稚舎は生徒はクラスは持ち上がり、担任も原則変わらない点など。
・原則中学へは全員進学でき、高校へも及第点を取れば進学できる。
・教育に特徴があるため、本来国立などとの併願は矛盾する点もある。
・福翁自伝を読んで理解を深めてほしい。
・教育特徴
独立自尊+共生他尊を大事にする。
これは、子どもたちそれぞれが自分を磨きながら、互いの違いを認め合い、助け合えるようになることを意味する。
自分の持つ可能性を伸ばし、成長できるような機会を提供する。この結果、じぶんから動いて獲得することを目指し、
誰にも負けない得意な何かを身につける自信をつけることを目的としている。
・ダイナミックな教育
几帳面な教育ではない。大胆かつ最新。5年生で薪を割ったり、6年生で野焼きをするなど、多少危険のように思えることでも、
最新の注意を払ったうえで必要な教育は実践していく。
・「まず獣身を成して、のちに人心を養う」
福澤先生の教えから身体能力を鍛えること重きを置いている。
一方で、運動ができる子だけではなく、苦手な子も活躍の場が与えられるよう、様々な文化系のイベントもある。
・クラスによる自治
学校は担任の学級経営にあまり口出しせず、担任に任せている点が多い。
例えば、ゲーム、マンガ、シャープペンの可否、オリジナルテキストの利用、給食指導のスタンスなど、学校によって異なる。(確かに、後の教室見学の際、名探偵コナンのマンガがありました!このような様子を隠さない点は凄いと思います。)
また、家庭の教育方針にも口出ししないように配慮している。
・一生続くネットワーク
親と暮らすのは学生まで、配偶者とは結婚してから、塾生のつながりは一生もの。
塾生と分かった時に、話題になるのは「担任は誰だった?」
・考え方が偏るリスクがあることは認識している。
専科の授業を重視し、低学年のうちから質の高い授業を行っている。またクラブ活動、縦割り、自由参観など、他クラスとの交流を図る機会を増やしている。
このように、人間力の育成により、変化に対応して自己に自信を持ち、力を発揮できる人材育成に努めている。
主事(副校長)より幼稚舎の沿革、行事、入学試験関係の説明
次に、スライドを用いて主事より詳細の説明がありました。
幼稚舎の沿革
スライドの沿革を見ながら慶應幼稚舎の歴史を説明。
幼稚舎の沿革は既に調べている方にとっては当たり前の内容ですが、写真が多く使われているので、内容は面白いです。
幼稚舎は福沢諭吉の信頼を受けた高弟の和田義郎によって、1874年に三田で和田塾として発足し、1898年に慶應義塾幼稚舎となりました。実に145年の歴史があります。1937年に広尾へ移転しましたが、設計者は文化勲章受章者の谷口吉郎氏。後に1987年に竣工した新体育館、及び2002年に完成した新館21は、同氏のご子息谷口吉生氏による学校建築です。
1944年から45年は伊豆の修善寺へ疎開し、不安な日々を送りました。この頃の教訓は冊子に残し、語り継がれています。
1947年には共学となり、K、E、I、Oの4クラス編成に変わりました(男児24人・女児12人が4クラス)。
幼稚舎の行事
幼稚舎の行事は、希望者のみ参加のイベントを含めると非常に数が多く、また宿泊行事の期間が長いことが特徴です。
全員参加型の行事
- 作品展
- 運動会
- 学習発表会
- 音楽・演劇鑑賞会
- 遠足(1、2、5年)
- 音楽会(4~6年)
- 下記水泳教室(3~6年)
- 球技大会(3~6年生)
- 福澤先生御命日講話(4~6年)
- 落ち葉焚き(1年)
- 餅つき(1年~2年)
- ヤゴ救出作戦(4年)
- 車椅子体験(4年)
- アイマスク体験(5年)
- Basic life support(5年)
- 早慶戦応援(5年~6年)
また、宿泊行事は下記の通りです。
- 3年生の一泊遠足
- 4年生の海浜学校
- 5~6年生の高原学校
- 6年生の修学旅行
クラブ活動は5~6年生で必須。15の運動部と13の文化部があり、クラブによっては外出のみならず合宿もあります。
この他、下記のように参加型の行事が多いです。
卓球大会、テニス大会、相撲教室、漢字読み大会、新年カルタ会、読書祭、福澤先生ゆかりの地を訪ねる旅、スキー合宿、館山遠泳合宿、理工学部見学会、などなど。
加えて、国際交流プログラムも盛んで、希望者には海外へ行く4つのプログラムがあります。
- オックスフォードのドラゴンスクールとの交流(6年)
両校の児童がそれぞれホームステイをし、お互いの授業に参加します。幼稚舎の運動会に参加することもあります。 - 慶應義塾ニューヨーク学院の寮を利用して夏期にモホークデイキャンプ(4年~6年)
3週間のプログラムで、6年生はホームステイも行う。ワシントンも行く。 - 英国サマースクール(6年)
児童9人に対してイギリス人の先生が一人つき、教室での学習やフィールドワークを行います。 - ハワイのプナホウスクールとの交流(5年)
両校の児童が互いにホームステイをして授業に参加します。
これらのプログラムは、単に英語を学ぶために行っているわけではなく、異文化を体験することによって、多様な価値観を持つ人を知り、どうやって共存していくか学び、そのような人を認める寛容の精神を養うことを目的としています。
入学試験関連
説明会のタイミングで初めて発表されたこととして、試験日が確定しました。
2020年は11月1日~8日のいずれかです。昨年と同様ですね。
これは説明会では言及されていませんが、昨年は前半が女児、後半が男児でした。
女児の方が受験辞退者が多いのですが、これは11月1日を試験日としている学校が多いためと推察します。
また、進学先の中学校は普通部が78名、中等部が62名、湘南藤沢が2名、残り2名は他校進学です。
入試の過去データなどは下記記事にまとめてあります。
【小学校受験】慶應義塾幼稚舎の特徴、倍率、考査及び横浜初等部との比較
学校見学
説明会終了後、早く来た方から順番に通されて学校を一通り回ります。
アナウンスによると、後ろのほうだと20分ほど待ちぼうけになるようです。
学校見学をしない方は、先に通されます。凡そ5%~10%が先に帰っていました。
学校を熟知した幼児教室関係者か、ごきょうだいがいる保護者でしょうか。
学校見学は体育館など含め隅々まで回りますが、列を乱さず進むように促されるので、自由に立ち止まる余裕はありません。
流し見するのみです。回る時間は凡そ15分ぐらいでしょうか。後に来るとその分待たされて終わるのも遅れますので、説明会自体早めに来た方が良いでしょう。
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